大切に残したいもの
つい先日、日光東照宮を訪れました。三猿も眠り猫も恥ずかしながら実物を見たのは今回が初めてで、その豪華絢爛なさまに圧倒されてきました。
ひとつひとつの装飾は、彫りも絵付けもすべてが手作業。そう考えるともう笑っちゃうくらいに細やかすぎて。
もはやどう作られたのか想像が追いつかなくて、ただただすごい、やばいと言いまくってきました。
PICK UP Japan Vintage Furniture
そんな歴史的な建造物に感化されて、今一度見直したくなった日本の手しごとの素晴らしさ。
ジャパンビンテージとして手に入れられる古い家具にもたくさんの意匠が散りばめられています。
観光地へ出向かずとも日常の中でもっと身近に感じられる日本の匠。早速チェックしていきましょう。
名もなき意匠
古い木味の本棚 5段
シンプルなデザインの本棚は日本の古家具としては定番のアイテムながら、経年による味わいや木色、サイズなどひとつとして同じものがないところが魅力といえます。
こちらはややナチュラルな色合いと高さ128cmの小ぶりなサイズ感が取り入れやすい1台です。
棚板の留め具を木ダボで隠したり、一部だけ滑らかな曲線に削り取られていたり。一見素朴なデザインですが、随所に密やかなこだわりが光ります。
また、おそらく昭和に作られたものかと思われますが、数十年経ってもなお狂いの感じられない堅牢な造りにさすがと言いたくなるのです。
スクールデスク 学校机
きっと誰もが懐かしさを感じずにはいられないビンテージ家具といえば、やっぱり学校の机でしょう。
今回も多くの子供たちが使い引き継いでできた傷や汚れが思い出としてたっぷりと刻み込まれています。
車にTOKYO、異国の言葉?に射抜かれたハート。机を彫りたくなるのは、どの時代も共通のようです。
ちなみに天板下には収納スペースがあったり、サイドにはフックが取り付けられていたりと、PCデスクや勉強机として意外にもご自宅での使い勝手も良さそうです。
名のある意匠
天童木工 | Hシリーズ キッチンワゴン
無名のビンテージも味わい深いものですが、より巧みな技術を楽しむなら老舗メーカーがつくる家具もまたおすすめです。
言わずと知れた山形県の天童木工。同社の得意技として有名なのが、曲木とコマ入れ成形です。
実はどちらも強度を高めるための技術なのですが、しっかりとデザインとして生かされている長大作が手掛けたビンテージのワゴン。
2つの意匠が惜しみなく注がれた美しい佇まいをぜひ実用にてご堪能いただきたいと思います。
マルニ木工 | ポリマ ローテーブル
同じく日本を代表するメーカーのひとつ、マルニ木工からはスクエア型のローテーブルを。
シルエットはどこから見ても四角いのにすべての角が削り取られているため、柔らかく優しい印象を与えます。
直線を基調としながらも洗練され過ぎることなく程よいレトロさをまとった1台。このミッドセンチュリー感がたまりません。
ちょっとシールの表面が擦れてしまっていますが、MARUNIの文字の左側にはオールドマルニの証である朱雀マークが刻まれています。
サイトーウッド | プライウッド ウォールハンガー
成形合板の技術を現代に引き継ぐ静岡県のメーカー、SAITO WOOD(サイトーウッド)。同社の製品として一番に思い浮かぶのはやっぱりゴミ箱でしょうか。
軽くて使いやすいプライウッドは、今も昔も変わらずインテリアには欠かせない存在です。
木製と金属製のフックを全部で8個も備えたコートハンガーは、今はもう作られていないアイテム。チーク材が良い風合いを醸し出しています。
厚手の羽織や巻きものなどの小物の出番が増えるこれからの時期に活躍する1点です。
おわりに
さりげなく、でも確かにそこにあるそれぞれの意匠。
本当はものすごくこだわっていたり丁寧に時間をかけているはずなのに、その技術力を主張しないところが日本らしさなのかもしれません。
煌びやかな東照宮も奥ゆかしい今回の家具たちも、どちらも世界に誇れる日本の手しごと。どちらも大切に残していきたい日本の匠です。