Kartell
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プラスチック素材のイメージを覆し、それらを使い素晴らしい家具に昇華させたイタリアのカルテル。
戦後のイタリアでプラスチックに着目し、ジュリオ・カステッリ・フェリエーリと共にカルテルを創業したある女性がいました。
その女性の努力と才能があったからこそ、カルテルは世界的名声を手に入れることが出来たといっても過言ではありません。
本日はそんな彼女が手掛けたカルテルのビンテージアイテムを紹介させて頂きます。
プラスチックのデザイン美
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カルテルの創業者ジュリオ・カステッリ・フェリエーリの妻であるアンナ・カステッリ・フェリエーリ。
“緻密なモジュールの概念”を初めて持ち合わせたデザイナーとも言われており建築家としても知られています。
その活動は多岐に渡り、ミラノトリエンナーレ展ゴールドメダル、コンパッソ・ドーロ賞、ニューヨーク近代美術館パーマネントコレクションに選定されるなど数多くの賞を受賞しており高い評価を受けています。

今回ご紹介させて頂くのは同氏がデザインしたプロダクト。
代表的な名作として知られるコンポニビリ同様、シンプルながらキャッチーで、緻密なデザインがなされた逸品です。

プラスチック製の名作を多く生み出したアンナ・カステッリ・フェリエーリ。
デザイナー・建築家としての道を順調に歩んだ様に聞こえますがそうではありませんでした。
当時は女性の社会進出が一般的ではなかった為です。
妻として、また母親としてのバランスを取ることは難しく、女性であるだけで障害に直面する時代。
彼女は他の女性建築家とは対照的に、積極的なフェミニストとなり戦いました。
プラスチック素材を用いた自由のかたちは同氏の戦いの歴史でもあります。

プラスチック素材ならではの高い自由度とポップな佇まい。
一体成型の技術により生まれたこのチェアは、木製家具には無い表情を見せてくれます。

印象的な座の模様は同氏の手掛ける作品と通ずるディティール。
座の孔はスタッキングを可能にした仕様で、同氏の緻密なモジュールの概念を表す箇所でもあります。
当時は鋳造の際、型から引き抜く為に製品のどこかに穴をあけなければならなかったそう
これまでになかった製品の商品化を叶えた、柔軟でユニークなアイデアと言えます。

強度を叶える為のデザインが随所に見られます。
脚は組み立て式。
完全な一体成型を叶える以前の、カルテルの長い歴史の途中の一脚であることがわかります。

片手で持ち上げることの出来るほど軽量。
移動も気軽に行えます。
水分に強い点も魅力です。

程よいしなりもこのチェアの特徴。
柔らかなラインと相まって身体に馴染み、快適な掛け心地を叶えています。

今となっては身近となったプラスチック素材。
技術も向上しこれまでに様々なプロダクトが生み出されました。
それでもアンナ・カステッリ・フェリエーリのプロダクトが愛され続ける理由は力強いストーリーが生み出した良質なデザインにあるのではないでしょうか。
名プロダクトのご紹介でした。
