BC kobo
Dining Chair
お盆休みも明け、いつもの日常に戻りつつあるこの頃。
今年はあまり鳴き声を聞かないセミたちも、残り少ない夏を一生懸命に過ごしています。
私の場合、暑すぎてあまり外に出ていないからなのかも知れませんが・・・
今回のご紹介は、ホッとする素敵な1脚。
宜しければ最後までお付き合い下さいませ。
佳き昭和のかほり
今回の椅子を手掛けたのはBC工房(ビーシーコウボウ)。ご存知の方も多いと思います。
いわゆるファニチャーブランドのように大きな工場を構え大量生産という訳ではないにも関わらず、熱烈なファンを持つ「工房」。
その確かな実力は、安心と温かみを感じるフォルムにはじまり様々なアイテムから見て取る事が出来ます。
オリジナルアイテムは100種類以上。そして柳宗理の紋次郎スツールや三角スツール、渡辺力のヒモ椅子や安楽リキ椅子等多くの名品の製造を手掛けています。
木の素材感をたっぷりと表現した家具たちは、多くの「ホッと」を求める人たちの心を射抜く作り込み。
ちょっとご紹介させて頂きます。
特徴的、ある意味アバンギャルド(前衛的)な印象を受けるBC工房のアイテムとしては穏やかな形。
これは想像にはなりますが、恐らくデンマークの名工房、J.L.モラーの椅子へのオマージュがあるのではないかと思います。
素材は良質なチークの無垢材。ミッドセンチュリーと呼ばれる1940~1970年ごろに多くの名作を彩ったこの素材。原産国でもある東南アジアでは資源の枯渇から保全のために伐採の制限を行い、今では貴重な素材の一つ。
きめ細やかさとしっとりとした肌触り、そして豊富な油分に導かれる経年変化。多くを過ごす家具だからこそ魅力の引き立つ良材が使われています。
ちょっと座面が前後に長く見えますが、これは左右がとってもスリムなため。
一般的な椅子の幅がざっくり45~47cmほどに対してこの椅子は最大で40cmと抑えられているのでとても小振りな印象に繋がっています。
座面高は約43cm。最近は西洋の椅子を取り入れる事も一般的になりましたが、やはり日本人のための抑えた高さは腰掛けた時にホッとします。
座面の傾斜は浅く、低い座高は足先が浮いてしまう事も太ももの裏を圧迫する事もありません。だからこそ深く腰掛け、一息を付く事が出来るのです。
そして座面も特徴的。
厚目のクッションの中にはスプリングがあり、フカフカとバインバインとした昔ながらの座り心地。
ひょっとすると現代では主流ではない作りなのかも知れません。
しかしながら手間暇をかけてしつらえるだけの、他にはない魅力のある座り心地。
まるで椅子が生き物のように座る人を受け止めてくれる感触です。
現在ありがたい事に、用賀店にはBC工房の椅子が3脚入荷しています。ほかの2脚もBC工房らしいユニークさがありますので、もし宜しければご一緒に見て頂けたら嬉しく思います。