Herman Miller
DWSR
ミッドセンチュリー期を代表する名デザイナー、チャールズ&レイ・イームズ夫妻。
数多くの名プロダクトを生み出した彼らのデザインは一夜にしてできるものではなく、時間をかけてはぐくまれるものでした。
本日ご紹介させていただくのはそんな二人の代表作。
ミッドセンチュリー期の普遍の象徴ともいえる名チェアをご紹介させていただきます。
イームズ夫妻の最初の夢
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デザインはより良い世界をつくるためにあると考え、機能性や合理性を備えたデザインを追求した夫妻。
使う側の身になって考えるデザインスタイルは多くの名プロダクトを生み出しました。
そうして誕生したものは今も尚多くの人々の暮らしや生活、空間を支えています。
今回ご紹介させて頂く名作、サイドシェルチェアもそのひとつです。
プライウッド素材の曲線を活かした一体成型の椅子。
これはチャールズの閃きでした。
彼は背と座が一体化し、更に素材は木材という二つの夢を一度に叶えようとします。
このウッドシェルサイドチェアは正にその理想通りのチェアです。
木材を用いながらも一切の引っ掛かりの無い独特の流線。
素材特有の質感は印象的な造形に温度を与え、人に寄り添うチェアならではの魅力を感じさせます。
この一脚は完成までに多くの苦難と時間を要した努力の結晶でもありました。
チャールズの閃きを基に木製の一体成型のチェアの完成と商品化を目指したのは40年代の事。
しかし当時の技術では背と座を一体化させた椅子を作ること自体不可能だったそう。
様々な改良や工夫を重ねたもののプライウッドは曲線を描くと割れやすくなる上に人が座れるほどの強度を叶えることができず商品化する事はできませんでした。
背と座の一体成型のチェアを諦めなかったイームズ夫妻はプライウッド素材のチェアに改良を加えながらも、当時の最新技術だったガラス繊維入り強化プラスチックにたどりつきました。
当時研究していた一体成型の技術を駆使して誕生したのが不朽の名作、イームズシェルチェアでした。
「あるものができれば次のものができる」
驚くべき2人の閃きは様々なデザインを生み出すと同時に、今日まで世界中の人々を魅了してきました。
プラスチック製のシェルチェアを完成させ、一躍有名デザイナーとなった2人でしたが2人のデザインの旅はまだまだ終わっていませんでした。
ウッドシェルサイドチェアという最初の夢を追いかけ続けながらも以降に生み出された情熱と好奇心あふれたデザインたち。
それらは彼らのデザイン哲学の通り、世界をより楽しい場所に変えてくれます。
残念ながらこのチェアが完成したのは、イームズ夫妻が亡くなった後の事。
2人の情熱は現代にまで飛び火し、ようやく最初の夢が叶えられました。
今ではお馴染みとなったシェルチェアですが、特徴的な流れるようなデザインはプライウッド素材の為と言ってもいいほどの相性と美しさ。
プラスチックには出せない木材特有の経年と温もりが未来のビンテージを想像させます。
木製とは思えないしなやかなラインと造形は特殊な加工法と職人技術によって完成された物。
機械ではなく、一点一点手仕事で仕上げられています。
使う毎に増す風合いは木材が持つ魅力。
叶えられた堅牢性により。長く使いながら育てる事が出来ます。
後ろ姿の美しさは名作シェルチェアと共通する魅力。
360度、どの角度からのフォルムも素晴らしく、名作と呼ばれる所以を感じさせます。
今回入荷したのはエッフェルベースが採用された個体。
代表的な仕様であるが故に、プラスチック製のシェルチェアとの違いと夫妻の夢をより身近に感じさせます。
脚先のグライズが初期仕様(ファーストタイプ)である点も魅力的です。
日常品として考えられ、実用的でありながら美しい。
今尚圧倒的な存在感を放つシェルチェアはイームズ夫妻だからこそ実現できたのかもしれません。
冒険心をたっぷりと持ち、好奇心にあふれる作品は世界中に衝撃を与え多くのファンを魅了し続けています。
シェルチェアに腰かけた時、そこから見える景色は素晴らしいものです。