Herman Miller - M.F.S.
Side Shell Chair
そっくりの分身が現れるドッベルゲンガー?それとも生き別れの兄弟?さて、何と例えるのが正解でしょうか。
偶然にも揃ったシェルもベースも同じ形の2つのサイドシェルチェア。一見そっくりですが、実は似て非なる特徴があります。
シェルの色味でも張地の違いでもない隠れた相違点。早速みていきましょう。
アメリカ生まれ、日本育ち
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と、その前に少しだけ前置きを。Eames(イームズ)夫妻が1953年にHerman Miller(ハーマンミラー)社から発表したサイドシェルチェア。
瞬く間に世界へと広がり、欧州ではvitra(ヴィトラ)、日本ではModern Furniture Sales(モダンファニチャーセールス ※契約当時は日本ハーマンミラー家具販売株式会社)がライセンス契約を結びます。
こちらのFRP製ブラックシェル×NC生地ブルーグリーンのシェルチェアは、日本で作られた1脚。エンボスにしっかりとM.F.S.の名が刻まれています。
また「51.2.25」の刻印から、1976年に製造されたことが分かります。年の表記が昭和というところが、メイドインジャパンならではです。
もともと生産数の多いシェルチェアは、ファイバー量だったりマウントの位置だったりベースの組み合わせだったり、何かしら違いがあるもの。
とはいえデザインの礎に変わりはなく、年代や製造国の違いは付加価値として楽しむ程度だと思っていたのです。が、実際にアメリカ製と日本製を並べてみて気づきました。
左がハーマンミラー製、右がモダンファニチャーサービス製。あれ、サイズが違う?日本製の方が小さい?
シェル自体のサイズはほぼ同じなのですが、日本製のほうが4cmほど低いのです。それに伴って座面高も46cm(米)・43cm(日)と異なります。
この差の正体は脚部にあり。よく見るとコントラクトベースの支柱の長さが違います(ちなみに4本脚の大きさは同じでした)。
実は、ベース部分も日本で作られたものがあるようで、実際エッフェルベースも日本人に合わせて短い設計がされているそうです。このサイドシェルは生粋の日本人(椅子)なのかもしれません。
アメリカで生まれ、日本で育ったイームズデザイン。分身というよりは、どちらかというと兄弟という例えのほうがしっくりくるみたいです。
同じ生みの親をもちながら、異なる誕生地や育った環境をもつ兄弟のようなオレンジとブルーグリーンのサイドシェルチェア。
はなればなれだった時を経て今、経堂店で初対面を迎えました。
サイズ、カラー、張地、製造国などそれぞれの違いを見比べながら、ぜひ最適な1脚(もしくは2脚)を迎えていただきたいと思います。