HIDA
YANAGI CHAIR
本日は、第二次世界大戦後の日本のモノづくりにおける重要局面に於いて、長大作、剣持勇、水之江忠臣、渡辺力等と共に「ジャパニーズモダン」と呼ばれ、日本のインテリアデザインの草創期を築きあげたパイオニア柳宗理の名作" 飛騨産業 / キツツキ "『 ヤナギチェア / YANAGI CHAIR 』のご紹介♪
無名の叙事詩


デザイナーの名前が作品名になる事は、インテリア史の中でもよく見受けられますが、こちらもそんな名付けのひとつ。オリジナルは1978年に曲木技術で有名な天童木工にて試作や製造が行われましたが、当時の技術力では量産は難しく、僅か数年で廃番となりました。
柳工業デザイン研究会より、復刻の打診を受けたのが2006年の事。製造メーカーは飛騨産業へと変わりました。" 飛騨産業 / キツツキ "は大正9年創業、日本古来より伝わる伝統的な美意識を文化を脈々と受け継ぐ日本最古の老舗家具メーカーとして知られています。日本屈指の家具製造技術を保持する飛騨のデザインからは、その節々より誇り高き日本の匠の意匠が感じられます。
飛騨の地をながく「木工の聖地」としていく為、創業100年を節目として「人を想う、森と歩む、時を繋ぐ、技を磨く」という4つの価値観を整理し、人と自然を繋ぎ、地球環境に適したモノづくりを進めています。


「材料そのもの、素材をなるべく生かして造るのが本当の美しさである」
そんな言葉を残している柳宗理の造形哲学を具現化する為に、最も適した家具メーカーのひとつと言える飛騨産業のモノづくりへの姿勢。同社の高度な一本曲木の技術力は、オリジナルを凌ぐほどの高級感。柳宗理が伝えたかった事を高い再現度で実現し、ビンテージと比較される現行品特有のいわゆる「チープさ(安っぽさ)」は全くありません。
肌が触れる部分は職人の丁寧な研磨で仕上げられ、無垢材特有の質感を引き立てる滑らかさ。飽きの来ないシンプルなデザイン故に、自然と人の目線は素材感と輪郭に目が行き、心地よい丸みと取り巻く空気との境界線に、息を飲む美しさが感じられます。



図面からではなく、木や石膏から自らの手で削り出すモックアップ(実物大型)製作。机上の空論ではなく、作り手自身の人間的感覚により納得のいく形を追求している為、人体への適合性は驚くべきものです。
背もたれから肘掛けまで繋がる太い曲線。また平たく見える座面も良く見ると滑らかに湾曲し、人を優しく迎え入れてくれます。
父・柳宗悦が提唱した「民藝」の影響を深く受け、日本の民衆的工芸に内包する「無名性」は、「家の道具」としての本質的な形を突き詰めた普遍的な美しさを具現化します。



「美しさは人々の役に立つところから生まれる」という考えのもと生み出された造形美と機能美の見事な融合。独特の赤みを持つ色彩の力も相俟って、飾らない高級感が現代の生活に溶け込みます。
誰が作ったかではなく、いかに使われるか。
個の主張を排したアノニマスな造形でありながら、そこには確かな人間の体温が宿っています。


削り捨てた名 掌の記憶
体温を宿し 呼吸する民藝











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