Piet Hein Eek
SCRAPWOOD CHAIR
”リメイク”と言う言葉は元々過去に制作された映画などを、新たに作り直すこと、または作り直された作品の事。
有名な作品としては『オーシャンと十一人の仲間』→『オーシャンズ11』や『暗黒街の顔役』→『スカーフェイス』など。意図としては映像技術的な違いがあり、作り直すことで新たなヴィジュアルなどが実現できると考えられたケースや定評のある作品をベースにすることで、ある程度のヒットを期待するというケースなどが挙げられます。
インテリアやファッションの分野に於いても”リメイク”という言葉は年々広がっており、単なるサイズ直しだけではなく、古いものをまったく新しいものにリメイクしエコロジーの時代のニーズに答えた新しいデザインの”ジャンル”として認知されてきています。
本日ご紹介する”ピート・ヘイン・イーク”は廃材などを使用した家具造りで広く認知されているデザイナーの一人。
是非ご覧ください。
チェアに込められたメッセージ
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「ピート・ヘイン・イーク Piet Hein Eek」はスクラップ材木や工業廃棄物などの素材を使用してユニークな作品を発表するオランダの家具デザイナーです。
彼の作品は、最新のテクノロジーでの工程を省き、完璧できれいな物を作ろうとする現代的な手法とは対照的で、素材や手法からコンセプトを決め、多くの時間と手間をかけた、ゆるやかで力強いメッセージを持っています。限られた中だからこそ生まれる、デザインの本質を追及しています。
工場の跡地をリノベーションした自身のアトリエ、ショップ、レストラン、ギャラリーを併設した場所から、独自のものづくりを発信しています。
ピート・ヘイン・イークがオランダのデザインアカデミーの卒業制作で発表したスクラップウッドシリーズは、彼が脚光を浴びるきっかけにもなった家具です。
本日ご紹介する”スクラップウッド チェア”は氏のスクラップウッドシリーズの代表作。
表情豊かな廃材のパッチワークは、一つとして同じ柄のない1点もの。過剰な生産によって不要になった工業製品や時代を経て廃れた家具を素材に、職人の手を加えることで現代的なデザインに蘇らせる手法こそピート・ヘイン・イークの真髄。
なるべく環境に負荷をかけずに、優れた製品をつくる。現代のモノ作りにおいてとても重要なことをさりげなく具現化している点は懐古主義のリサイクル運動だけに留まらない”現代的”な魅力が存分に感じられます。

とは言え、このどこか懐かしさと温かみを感じさせるフォルムはこのチェアの魅力のひとつ。
全面に施されたハンドペイント、職人の手で1本ずつ閉められたマイナスネジ。久しぶりに実家で食べるお味噌汁がとても美味しく感じられるようなそんな感覚に似ています。

古材を用いたデザインは、インダストリアルな雰囲気のインテリアにも相性抜群です。モダン家具やアンティーク家具のつなぎ役として、テイストの垣根を越えて調和を取る存在にもなるので、見た目のインパクト以上に合わせやすい椅子だと思います。
”リメイク”に於いて現代的である事は必要不可欠。懐かしさや手作りの温かみだけでは終わらせないピート・ヘイン・イークのメッセージがひしひしと伝わってきますね。

「新しさの基準は一体どこにあるのでしょう? 新品だから良いというのは、一種の“まやかし”かもしれません。」
「過去から私たちは何度も学習し直し、これまでにない発見を繰り返すこともできるはず。一度は失敗作と評価されたり、もう世の中に必要のない無駄なものと見なされたものでも、視点を変えると異なる価値が見えてくることを僕は身をもって知っています。」
「モノの背景に隠された文脈や歴史背景を必要以上に語らずとも、発想力と創造力を存分に活かせば新たなる未来も切り開いていけるのです」
氏はインタビューでこう語っています。家具のみならず、すべての物事に通じているような気がします。

前回、祖師谷店で入荷した際も即SOLDOUT。
学芸大学店にて展示中ですのでお探しだった方も、そうでない方も是非見にいらして下さいね。
