Vintage Style
Wood × Iron Work Chair
Yチェアのように名前にアルファベット1文字を与えられたチェアというのは意外にたくさんあります(Yチェアは正式名ではありませんが…)。
調べてみると、デザイナーズなどの有名どころでないものも含めれば全26文字を網羅するほど。
ここまで多いとは思ってもみませんでしたが、シルエットと名前が一致する分かりやすさと耳に残る利点。理に適った名付け方法です。
もしくはTOVチェア
もちろんTも例外ではありません。Tチェアといえばやっぱりアルネ・ヤコブセン。それからオーレ・ヴァンシャーのT字の背もたれの椅子も比較的広く知られているデザインでしょうか。
さらにはカリモク60やコサインなど、日本ブランドからもTの名をもつチェアがいくつか製造されています。
きっとチェアデザイン、とりわけ背もたれに取り入れやすいフォルムをした「T」の文字。どうやらいわゆるアンティークやビンテージと呼ばれる時代から既に採用されていた、アルファベット界におけるチェアキラー的存在です。
実際に巨匠や著名なメーカーが手掛けたわけでもないこの椅子の背もたれにもまた、しっかりとTがあしらわれていました。
おそらくフランスで製造されたと思われるワークチェア。アイアンとウッドを組み合わせたビンテージ感のある王道のインダストリアルスタイルを楽しめる1脚です。
これぞTチェアと名づけたくなるほどにもっとも目を引くT字の背もたれ。すらりと伸びるスリムなTは、アイアンの重厚な素材感に反し華奢な印象を与えます。
さらに割れ目も味わいとなったまん丸の座面は「O」、十分な広がりにより安定感のあるトライポッド(3本脚)は「(逆さまの)V」。
よく見るとたくさんのアルファベットが散りばめられた面白いデザインと無骨さと繊細さが入り混じるユニークな佇まいに、只者ではない存在感を感じさせます。
アノニマスではあるけれど、実はとある雑誌では(同様のデザインが)表紙に抜擢されたこともあるこちらのTチェア(もしくはTOVチェア)。
先ほどは王道のインダストリアルスタイルなんて書き走ってしまいましたが、けっこう個性的なチャームポイントが散りばめられていました。
少し座高が高めだったり、座面の高さ調整が困難だったりとビンテージさながらの欠点もありますが、それもまた個性のひとつとして楽しみたいものです。