Herman Miller
Arm Shell Chair
世界で初めて量産されたプラスチック椅子として知られる名作、「アームシェルチェア」。
背もたれと座面が一体となった有機的なフォルムとシャープなワイヤーの脚は、一度見たら忘れられないアイコニックなシルエットです。
背座の素材には当時最先端だったFRPを用いることで、軽量かつ高い耐久性を持つシェルチェアを量産することを可能にしました。
メイドインジャパンのシェルチェア
そんなアメリカのミッドセンチュリー期を代表するシェルチェアですが、実はわが国日本で製造されていたモデルも存在します。
1990年代頃まで日本の国内でも製造がおこなわれていたシェルチェア、今回入荷したのはハーマンミラージャパンが設立される以前に"モダンファニチャーセールス Modern Furniture Sales"がライセンスを取得して製造したモデルです。
アームシェルならではの曲線的なデザインやネイビーのシックな色づかいが特徴的なこちらの一脚。
ホワイトのシェル本体に加えてエッジのモールもホワイトに統一されており、上品さを残したカジュアルな風合いに仕上げられています。
FRPを用いたシェルの身体に合わせた曲線的な造形に加えて、背座がファブリックに包まれたアプホルスター仕様で温かみのある掛け心地に。
また、クッションを備えているおかげで長時間の着座でも疲れにくくなっているのも嬉しいポイントです。
シェルに含まれるグラスファイバーの量は製造年代が古いほど多く、こちらのチェアにもたっぷりと含まれていることが分かります。
また、シェルの裏面にはハーマンミラー社のマークとModern Furniture Salesのステッカーに加えて、昭和60年(1985年)製である事を表すスタンプが押印されています。
一般的に製造年月日といえば西暦で表記されていることが一般的ですが、こうした日本らしさを感じさせる部分が垣間見えるのも面白い特徴です。
モダンファニチャーセールス製といえばそのベースも特徴の一つ。
一見すると本国アメリカで製造されているものと変わりないエッフェルベースに見える脚ですが、その違いは高さにあります。
日本国内での流通を念頭に置いて製造されていたことから日本人の体格に合わせてやや低く調整されており、通常のエッフェルベースが約45cmほどの座面高であるのに対して、今回入荷したモデルは約42.5cmとなっています。
洗練されたデザインに加えて多くのバリエーション、年代等細かな違いからコレクションとしても高い人気を誇るビンテージのシェルチェア。
FRPやスチールベースの素材感で工業系の風合いを感じさせながらも、シェルの有機的なデザインやネイビーのファブリックでシックかつレトロポップなインテリア空間を演出してくれる逸品です。
今回入荷した個体はクッションとファブリックを新品に張り替えているためコンディションも良好な一脚です、この機会をぜひお見逃しなく。