Carl Hansen & Son
CH72 MINI BEAR SOFA
本日は、丸い背中がお部屋の中央で際立ち、暮らしに溶け込む親密な安らぎを与えてくれるコンパクトなアームソファ、『 CH72 ミニベアソファ 』のご紹介♪
当時は「AP20」としてAP Stolen社より1952年に発表されましたが、70年代に一度生産が途絶え、「幻のソファ」といわれていました。こちらは2018年より待望の復刻販売された" カールハンセン&サン / Carl Hansen & Son "社製となります。
小熊の懐


Yチェアでもお馴染み、北欧デンマークの鬼才ハンス・J・ウェグナー。生涯で500点以上もの膨大な数の椅子を誕生させ、その殆どが名作と呼ばれています。
「熊が手を広げている」ような愛らしいフォルム。同氏のコンフォートチェアの集大成と名高いベアチェアは、テディベアチェアやパパベアチェアと呼ばれ、またその奥さんであるママベアチェア、子供のミニベアチェア等、家族構成でデザインされたユニークなラインナップが存在します。
発表当時、製造を手掛けたアンカー・ペーターセンにより創業した" AP Stolen "は、1951~1977年代にハンス・ウェグナーのデザインした張りぐるみの椅子を多く製造したデンマークの家具メーカーで、現在では廃業しております。



ウェグナーが「究極の座り心地」と「構造の美しさ」を追求した結果として生まれた特徴的な形。言われてみれば確かにそのフォルムは「熊っぽい」。でもその名前はウェグナーが名付けたものではなく、当時はアルファベットと数字の組み合わせによる無機質な型番であったそう。
1951年にある評論家がパパベアチェア(AP19)を「アーム部分が、まるで後ろから抱きしめる大きな熊の手のようだ」と評価した事を、アンカー・ペーターセンが気に入り、以降正式にベアチェアの愛称が使われる様になりました。
既に作者の意図があり、名前もあったものに対し、この時そんな一言を否定して型番で呼び続けていたら、今日の様な知名度を得ていたかは分かりません。



作者の意図を超え「あだ名」が公式化するケースが意外と多く、デザインやアート、建築の世界では、大衆による「名づけ」の力が、作品に「命」を吹き込むきっかけになります。
例えばアントチェアは「model3101」、Yチェアは「CH24」という型番でした。エーロ・サーリネンのチューリップチェアは「椅子の下の足の混乱」を解消する構造として追求した結果、あの特徴的な一本脚が生まれましたが、人々はそこに華を見出しました。
他人の例え話(比喩)が作品に新たな文脈を与え、作者すら予想しなかった「物語」が生まれるのは、効率化されるデザインが社会に受け入れられる際の大事なプロセスと言えます。



「難しい理屈よりも、パッと見た時の実感」が人々の心を掴みます。愛称が生まれる事で単なる家具ではなく、「自分を包み込んでくれる温かな存在」として認識されるという事。作り手の「形」が受け手の言葉で「物語」に変わり、「布を纏う温かな獣」として、暮らしの中に擬態し続けます。
名匠ウェグナーによるミニベアソファ。特徴的な木のアームは、安らぎを守る小さな爪。日本の空間に溶け込むサイズ感でありながら、その座り心地はどこまでも深く雄大です。せわしない日々を脱ぎ捨てて、温かな懐に身を委ねる。そして冬眠するように擬態した家具と人がひとつに溶け合います。

布を纏う 温かな獣
呼吸を重ね 同じ夢を見る











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