ETHAN ALLEN
Marques Dresser
古き良き時代を思い浮かばせるクラシック家具と言われると、貴族文化の根強いイギリスやヨーロッパの家具というイメ―ジの方が多いのではないしょうか。
インダストリアルやモダンな家具のイメージが強いアメリカですが、意外にもアメリカにもクラシカルな家具を得意とするブランドやメーカーが多く存在します。
17世紀頃ヨーロッパから入植者が移り住み、ヨーロッパ諸国の様式を再現したコロニアル(植民地)様式が広く親しまれていたアメリカの家具の歴史。
本日はそんな同国の原風景ともいえるアンティークスタイルを再現した家具のご紹介です。
米国の控え目な気品
1932年、当初はアメリカで家庭用品の販売代理店として設立された“イーセンアーレン ETHAN ALLEN”。
後にバーモンド州で家庭用家具の製造を始め、1939年のシカゴハウスウェアショーでコロニアルスタイルの家具ラインを発表。
その時に発表された家具はバーモンド州の英雄「イーサン・アレン」にちなんで名付けられ、1969年に正式に社名を“イーセンアーレン ETHAN ALLEN”に変更し、家具小売業者ではなく消費者に直接マーケティングを開始しました。
アメリカやヨーロッパの伝統的なデザインを元にした魅力あふれるアイテムを制作し、同じ米国の「ドレクセル Drexel」社や「トーマスビル Thomasville」社と肩を並べるほど有名な高級ファニチャーブランドとして、世界に300店舗以上を展開しています。
こちらは同社が得意とするコロニアルスタイルが色濃く映し出された“マルケス・ドレッサー Marques Dresser”。
クラシカルな家具と聞くと伝統的な装飾などが入った華美なものを想像させますが、こちらは控えめでシンプルなデザイン。
直線を基調としたフォルムの中に優雅な曲線を描いた彫刻が所々に施され、天板や台輪部分のモールディングは上品な雰囲気を演出し、イギリスやフランスのビンテージ家具を思わせます。
角がしっかりと丸く削られた脚部は空間があり、大型家具特有の圧迫感が無くスッキリとした佇まい。お掃除もしやすく、初めてのビンテージ家具としてお部屋に取り入れやすいかと思います。
ローズウッドの様な赤みのあるブラウンに塗装されたフレームには、節や虫食いの穴などを残し木材本来の質感を感じられる仕上がりに。
はっきりとした材は不明なものの、ドロワー内部の杢目や木色を見る限り恐らくメープル材が使用されているかと思われます。
深みのあるブラウンカラーは、細かな装飾が施されたゴールドの把手と相まって重厚感と高級感を空間に演出します。
上3杯の小さめな抽斗には書類やアクセサリー等、細々とした物の収納に最適。
また、下6杯の大きな抽斗は広さと深さ共にゆとりがあるため、衣類や日用品など生活感の出やすい物や目隠ししたい物の収納にぴったりです。
広大な天板スペースは、余白を活かしたディスプレイ棚として、お気に入りのコレクション品やアートブック、オブジェや観葉植物などお洒落に魅せてくれます。
寝室やリビングの収納家具としては勿論、壁付けして設置し鏡を立てかけてドレッサーとしてなど、ご自宅だけでなく店舗什器としてもおススメの一台です。
敷居が高いと思われがちなクラシカルデザインのアイテムですが、意外にも和室との相性が良かったり、合わせるアイテムでさらに魅力が増す奥深いものばかり。
深みのあるシックなカラーの家具を一つ置くだけで、お部屋の深みもぐっと増すもの。
ビンテージ家具と合わせるのは勿論、近い色味のミッドセンチュリー家具や日本の民芸家具などと合わせてみると、重厚な雰囲気がリンクしながら文化の違いを感じることができ、面白いかも知れません。