現代作家 辻和美 Factory Zoomer ~心和む優しい器たち~

UPDATE: STAFF:ユキナ
現代作家 辻和美 Factory Zoomer ~心和む優しい器たち~

現代作家 辻和美 Factory Zoomer ~心和む優しい器たち~

UPDATE: STAFF:ユキナ

ひとつひとつ手に思いを込めて

手作りならではの風合いと美しい造形が魅力の辻和美さんのガラス作品。 注文から何年も待って入手されている方もいる程、その人気は衰えることをしりません。
「日々使う食器でも、大量生産ではなくひとつひとつ手に思いを込めて作ったものには何かが宿っていると思っています。」と辻さんはあるインタビュー記事でコメントされていました。
それは、生活の中で使われるモノを通して、人のよりよい暮らしを支えていきたいという思い。人の手によって作られるものだからこそ伝わる思い。
是非この特集記事を通して、辻さんの作品に触れてみたい使ってみたいと少しでも思って頂けたら幸いです。
辻和美さんは金沢美術工芸大学を卒業後、カリフォルニア美術工芸大学にてガラス工芸を学び、1999年にガラスデザイン・制作のユニット「factory zoomer」をスタート。1999年には金沢市に工房を開設しており、年に数回のペースで国内は勿論、国外でも展示会を行っています。
2000年代から「生活工芸」と言われる新しい工芸のカタチを切り開いた重鎮たち、陶芸家の黒田泰蔵、安藤雅信、木工作家の三谷龍二、塗師の赤木明登に並び、ガラス作家といえば辻和美さんの名前が一番に挙げられるでしょう。 2016年にはギャラリーをオープンし、現代美術家としても活動の幅を広げています。うつわ好きなら誰もが憧れる人気の作家さんの一人です。
この度ご縁あって、コレクターの方からそんな辻和美さんの器をまとめてお譲り頂きました! インプションでは、今までにも年に1度ほどのペースで入荷していましたが、もちろんここまでの数は初めて。テーブル目一杯に並べられた器たちは、まるでショップのようで壮観です。 ここからはアイテムごとにご紹介していきたいと思います。

 Contents


standard

工房開設時から制作されている辻さんの代表作、めんちょこシリーズは様々なデザインやサイズ展開があることで知られており、今では350種類まで増えているんだとか。 ひとつひとつの柄によって付けられている、ホリホリ、モウモウ、ツブツブ、センセンなどの擬音語・擬態語を使った名前。子供でも覚えられそうなシンプルで分かりやすい名前ですよね。

元々工房で職人さん達と呼び合っていた愛称をそのままタイトルにしたそうなのですが、この何とも言えない可愛らしい名前に癒されている方も多いのではないでしょうか。 心が和む温かい気持ちにさせてくれるのは、独特の名前も大きな役割を担っているのだと感じます。

テンテン

 ハンドペイントで描かれたいびつなドット模様が可愛らしい、テンテン。ガラスの表面にサンドペーパーで擦り傷を入れることで、大粒の雪がしんしんと降る雪景色が表現されています。

おさらが7点、三角鉢が3点、おはちが1点、めんちょこが2点です。

ミゾレ

センセン

 ミゾレの名の通り、雪や氷を彷彿とさせる不揃いの格子模様が特徴。黒いガラスに柄を施す「くろ柄」のタイプは、センセンという名前が付いています。 その溝が手にフィットして持ちやすくもあります。

ミゾレは、大鉢1点、めんちょこ大平1点、めんちょこ小平1点、おはち1点、めんちょこ2点、普通のコップ(低)4点、です。

センセンは、めんちょこ小平1点、三角鉢2点、めんちょこ2点です。

ザーザー

 雨がザーザー降るかのように線が統一に彫られた模様。ミゾレと同様に、深い溝が手にフィットして持ちやすくもあります。

三角鉢4点、めんちょこ小平1点、めんちょこ2点、はなちょこ4点です。

ウズウズ

 ウズの名の通り、ぐるぐると渦を巻いた螺旋状の模様が彫られています。子どもの落書きのような愛嬌があります。

めんちょこ3点(とうめい1点、黒2点)です。

ホリホリ

 全体を掘り削って作られた模様、ホリホリ。彫刻刀で削ったかのような味のあるドット模様は、ずっと見ていても飽きません。

ボール4点、三角鉢2点、おはち2点、まるちょこ1点、めんちょこ1点です。

カキカキ

 ひっかいたような模様が大胆なカキカキ。陶器の刷毛目のようにも見え、どこか和の雰囲気も感じられます。 ペイントが施されているのは外側のみで、内側はガラス特有の表情や質感を残し、二面性を持ったデザインとなっています。

おはち1点、おさら1点です。

その他

 1. モーモー 2. ハッパ 3. ツブツブ 4. opaque 5. 結晶 リブ コンビ 6. 霜 7. たんぼ 8. マド

きりこ

 透明の切子作品「冬の硝子シリーズ」として発表された、結晶&リブのロックグラスと霜のはなちょこです。

光が当たることで生まれる陰影もお楽しみ頂ける大変美しい作品。過去に辻さんの展示会を行ったギャラリーの記事によると、辻さんのカットグラスは、カットを粗く施した後、窯に入れる「ファイアーポリッシング」という製法で作られており、一般的な切子のグラスよりもカット部分の質感が滑らかなところが特徴なんだそう。

ガラスの透明感がより強調される仕上がりにより、まるで本物の氷の塊を見ているかのような美しさがあります。

コンビ

 「グラスに洋服を着せるように柄を作っていった。」という辻さん。 スタンダードシリーズの模様とラインドローイングを組み合わせたこの豆皿たちを見た時、"洋服のような"というイメージがはっきりと感じられました。

また辻さんは細かい作業が苦手からか、豆皿は滅多に作らないそう。7点もまとめて入荷するのはかなり貴重なことなのかもしれません。

limited

その時々で辻さんが考えていることや感じていることを作品に込めて制作するlimitedシリーズ。 現在めんちょこなどのスタンダードシリーズは、金沢にあるショップとギャラリーにて注文を受け付けていますが、展示会のために制作されたリミテッドシリーズは展示会期中にしか手に入れるチャンスがありません。

ラインドローイング

 ペンで書かれたような繊細なラインと淡いグレーのすりガラスが優しく上品な印象のラインドローイングシリーズ。 試し書きをする時の"ぐるぐる"に良く似ていて、力が抜けた感じが心地よいです。

三角鉢2点、めんちょこ大平2点です。

365

 「3」「6」「5」という3つの数字が透明なガラスの中に浮ぶ、非常に分かりやすくシンプルなデザイン。 名前の通り、365日、1年、毎日など、日常のことを作品にしたいという思いから生まれたシリーズです。どこかモダンな雰囲気も感じられ、定番の模様とは一線を画すような個性が感じられます。

めんちょこ大平5点、片口1点です。

しのぎ

 器の全面にカットが施されたしのぎシリーズ。自然の中に存在する模様からインスピレーションを受けており、こちらは木々の樹皮のようなwood skinというカットが施されています。 すりガラス状に仕上げられた質感も特徴的で、独特の雰囲気を醸し出します。

片口1点、ぐいのみ2点です。

red

 「なんか好き、なんか気になる。」という、辻さんにとって特別な色。活力を感じ前向きにさせてくれるアクティブな色。2016年から数回に渡り、辻さんがセレクトした赤いものが並ぶRED展が開催され、口元のカッティングが繊細なギザギザプレートと艶のある真っ赤なおちょこも、その展示会で発表されたものと思われます。

おさら7点、おちょこ2点です。

最後に

 辻さんの作品にはひとつひとつ個性があります。 これまでに何度か作品を手に取る機会がありましたが、ガラスなのにここまで温かさを感じるうつわは初めてかもしれません。 

もちろんこれからの季節に涼し気なガラスはぴったりですが、冬の硝子というシリーズもあるくらいですから、きっと春夏秋冬季節問わず楽しめるうつわにこだわって制作されたはず。

暮らしに優しく寄り添い心を満たしてくれる、何気ない日常の中にこそ取り入れて頂きたい生活工芸品。使ってこそ初めて辻さんのデザインの魅力を実感して頂けるのではないでしょうか。

*こちらは、当社が作家の方から直接納入していただいているお品物ではございません。前所持者の方が購入されたUSED品となり、価格も現在の需要に基づく設定となっておりますこと、ご了承くださいませ。

*今回入荷した辻和美さんの器は、全て経堂店にて販売しております。商品の在庫状況や詳細につきましては担当店舗に直接お電話下さいませ。

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