SHIRO KURAMATA 倉俣史朗~アフタースペースエイジの新たな創造

UPDATE: STAFF:アベカワ
SHIRO KURAMATA 倉俣史朗~アフタースペースエイジの新たな創造

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唯一無二の個性を発揮していたデザイナー、倉俣史朗


昨年開催された展覧会、「倉俣史朗のデザイン 記憶のなかの小宇宙」の興奮もそろそろ落ち着いてきた2024年、さる企業様からお声を掛けていただき、倉俣史朗のHAL2が8脚も入荷する運びとなりました。

HAL2は展覧会にも並ばなかったため、まだ見ていない方も多いのではないでしょうか。

かくいう私も今回が初見でしたが、お伺いさせていただいた現場で普段使いされているHAL2を見て、嬉しさよりも仕舞っておかなくて大丈夫ですか?という要らぬ心配が先に立ってしまいました。


初めて見たHAL2の感想は、レトロな宇宙船。

HALというネーミングから既にSFを連想してしまうため、安直で申し訳ないのですが素直にそう感じました。

倉俣史朗は1965年のクラマタデザイン事務所設立から70年代にかけてピラミッドの家具や変形の家具、硝子の椅子、オバQランプなどを発表。

80年代に入るとポストモダンという新しいプロダクトデザインの潮流が生まれ、倉俣氏もその代表的存在であったメンフィスに参加していたことも有名です。

既に時代の寵児であった倉俣はこの頃からさらに独自の表現方法が突出し、アート感のある数々の名作を世に放ちます。

エキスパンドメタルを使用したソファ「How High The Moon / ハウ ハイ ザ ムーン」1986年、

造花の薔薇を封入したアクリルを用いて作られた椅子「Miss Blanche / ミスブランチ」1988年、

とくにこの2点は倉俣を代表する作品として、世界中で知られた傑作となりました。

80年代という特質的な時代背景もあって、倉俣のデザインはこの頃のラジカルな人々に受け入れられていき、今では世界中からの高い評価と様々な分野への影響を与え続けています。

HAL2がデザインされたのは1987年、ハウ ハイ ザ ムーンの翌年に発表され、屹立する凛とした造形はやはり宇宙を感じられずにはいられません。

1960年代から70年代の間、世界的に流行したスペースエイジデザインというものがあり、プラスチックなどの自由な造形を可能とする素材により、様々なデザイナーが宇宙での生活を想像して創造したデザインの潮流でした。

あくまでも私見となりますが、倉俣氏の創るデザインはそのスペースエイジデザインの後を引き継ぎながら、新たな素材を用いディストピア感を加えた独自のポストモダンとして、新しい宇宙的デザインを思わせてくれる作品も多い気がします。

それはネーミングにも表れており、ソラリスやスターピース、そしてこのHALシリーズと宇宙を思わせる作品名もそれを想起させます。

クラークやブラッドベリなども読まれていたようなので、宇宙やSFに関心のあったことは間違いないでしょう。

硝子の椅子は映画「2001年宇宙の旅」へのオマージュとして作ったものと語られていたそうです。

(HALシリーズに関しては倉俣氏の娘さんである晴子さんの名からきたHALであるという見方が最も一般的なのかなとも思います。しかしながら”ハルちゃんの椅子”という、晴子さんのためだけにデザインされたまったく別の作品もあるようですが。)

HAL2は当初、新宿のカフェテラス・コロンバンのためにデザインされました。

販売はインターデコール(カッシーナジャパン)のようで製造は寺田鉄工所が請け負い、ハウハイザムーンと同じエキスパンドメタルが使用されています。

当時どれほどの数が製造販売されたのか今となっては不明ですが、現存数はかなり少ないようです。


この度、入荷した8脚は脚先のプラスチック部分が残っているもの4脚、代用品と交換したものが4脚となります。

残っているものも経年により削れてはおりますので、その辺りは30年以上が経過している作品ゆえご容赦ください。

倉俣氏の作品はどれも希少となっていますが、現行販売されていない家具はその最たるものと思われます。

近年メンフィスから復刻されているスターピースを使用したKYOTOやNARAといったテーブルがあります。

当時物をなかなか見ることが出来ない我々にとって復刻されていることは素晴らしいことなのですが、やはりオリジナルとはガラスピースの入り方が違う物に感じられます。

HAL2は復刻もありませんし、当時の空気を纏ったオリジナルの経年感は何物にも代えられない魅力があると思います。

倉俣作品は既にアート品としての感覚で考えられていることが多いため、このHAL2を入手してもほぼ飾っておく椅子になると思われます。


それでも入手したら好きな空間にHAL2を置いて腰を掛け、”ツァラトゥストラはかく語りき”や”美しく青きドナウ”あたりを聴きながら、氏が表現してきた独創的なデザインの宇宙に思いを馳せてみる。

なんていう贅沢な時間の使い方をたまにはしてみたいものですね。

 

 

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・倉俣史朗 HAL2 チェア グライズオリジナル 在庫4脚  1脚 ¥1,210,000~
・倉俣史朗 HAL2 チェア グライズ交換品   在庫4脚  1脚 ¥1,155,000~





店舗にて実物をご覧いただけます。

<在庫店舗>
2脚在庫:祖師ヶ谷大蔵店・登戸BASE EC店
1脚在庫:用賀店・下北沢店・自由が丘店・学芸大学店

※ビンテージ品によりコンディションに多少の個体差がございますので、見に来ていただく場合はその個体の在庫店舗を間違えないようお気を付けください。(登戸BASEのみご予約が必要となります。)

 

 

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