倉俣史朗が手掛けた梅の木の家具
2024年の1月に惜しまれながらも閉店した「江戸前寿司 赤坂 梅の木」
1978年に倉俣史朗が手掛け、40年以上に渡り人々に親しまれてきました。
近年では現存する倉俣史朗インテリアデザインの希少なお店だったため、見に行かれるファンの方も多く、おいしいお寿司と共に楽しまれていたようです。
昨年の夏、光栄な事にこの「梅の木」で実際に使われていた家具のご依頼をいただきました。
そして10月、カウンターチェア、ダイニングチェア、テーブルをお譲りいただくことに。
長きに渡り愛されてきたお店の家具となりますので、経年の擦れやひとつひとつの傷などもその歴史として大事なものと捉え、掃除以外の手入れはせず次の方にお渡しさせていただきました。
この家具達は倉俣史朗がデザインしたという記録はありませんが、調べてみても同じデザインの汎用品は見つけられず、倉俣がデザインし作らせた物かセレクトした物かは不明のまま。
しかしながらどちらにしましても希少な家具であることに間違いはありません。
このお譲りいただいた梅の木の家具3種(カウンターチェア7脚、ダイニングチェア1脚、テーブル1台)とお店に置かれていた大きな陶製の壺は、昨年販売させていただきした。
これで梅の木にあった家具は残すところダイニングチェア1脚とカウンターチェア1脚となります。
前所持者の方もこの2脚だけは手元に置いておきたいという気持ちもあったと思われますが、倉俣ファンの方にお渡しした方が良いとのことで、この度最後の2脚もお譲りいただけました、誠にありがとうございます。
この2脚で梅の木の家具は最後となります。
一見何の変哲もない椅子ですが、和のテイストにクロスのデザインを組み合わせ、その椅子が整然と並ぶ姿は空間を律する緊張感を与えつつも、うまい物を出すといった店主の信念と同調していた気がします。
稀代のラジカルなデザイナーであり、世界も認めた倉俣史朗。
氏の残した作品も、生前に作成されたオリジナルや既に廃番となっている物は現存数がかなり少なくなり、希少なプロダクトとなっています。
倉俣作品は海外のコレクターに流れることも多いようですが、可能であればここ日本にて収蔵されていけば良いなと思います。