US vintage
Wire cabinet

本来の役割を終えた後も、発想ひとつで新しい使い道が生まれる。
用途や置き方を固定せず、使い手の視点で再解釈できることこそ、こうしたプロダクトの魅力です。
今回入荷したのは、そんな自由度を感じさせてくれるワイヤーメッシュの収納家具。ここから、その背景と魅力を紐解いていきます。

使い方は、決めなくていい

こちらはもともと、学校などで子供用ロッカーとして使用されていたキャビネット。
横向きで設置され、日常の中で使われることを前提とした、実用一点張りのデザインです。背の低いサイズ感や区画の構成からも、子供目線で設計されていたことが伺えます。

このキャビネットの面白さは、向きを変えるだけで用途が広がる点にあります。
ロッカーとして横向きに使われていたものを、あえて縦向きに。そうすることで、シェルフや収納什器としても成立する佇まいへと変化します。用途を限定しない柔軟さが、現代の空間にもよく馴染みます。

溶接や曲げ加工によって構成されたフレームは、非常に堅牢。
装飾を極力排したワイヤーメッシュ構造は、工業製品ならではの合理性と、インダストリアルな素材感をそのまま残しています。使われてきた時間が、無理のない表情として現れています。

扉は、把手を溶接した鉄製の棒をスライドし、左右の穴から外すことで開閉する独自構造。
一手間かかる動作ですが、その工程こそがこのキャビネットらしさ。約2mmのワイヤーによるメッシュは、重厚な印象の中に抜け感を与え、収納物をほんのりと映し出します。

子供用ロッカーとして横向きに使われていた背景を持ちながら、縦向きにすることでシェルフやディスプレイ収納としても活躍。
用途を決めつけず、空間や使い手に委ねられる自由さが、このキャビネットの最大の魅力です。
インダストリアルな素材感とストーリー性を併せ持つ、唯一性のある一台となっています。