UK Vintage Cabinet of Pine
突然ですが、このブログの著者は自分の事をごくごく一般人だと思っています。 例えば毎日の食べ物に関してグルメではなくとも、ふと口にした旬のものが美味しかったら嬉しいし、何が美味しかったのかなー、なんて考えてみたりします。 でも同じような食事が3日続いても、そんなに不満は出ません(笑) とびぬけて繊細な感覚を持っているわけでもない。それでもちょっとした違いに気が付けるのは変わらない「土台」があるから。 今回、そんな毎日の「あたりまえ」に加えたいと思える素敵なキャビネットが入荷致しました。 宜しければ是非その魅力を一緒に感じて頂ければ幸いです。イギリスという土地が育んだ文化
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キャビネット。中々にカテゴライズが難しいジャンルのアイテムです。
収納家具と広く云っても、カップボードのように大量の食器を収納できるもの、キュリオケースのようにディスプレイがメインもの、現代であればAVボードなど用途に特化したものまで様々です。
今回のキャビネットはどうでしょうか。
カップボードほど大柄ではなく、サイドボードのように幅があるわけでもない。キュリオケースのように区切ったディスプレイスペースがあるわけでもない・・・。このキャビネットが出来た頃には電子レンジもなければレンジボードもなかったでしょう。
何故かナイナイ尽くしになっておりますが、この「どこにも属さない」というポジションが今回の魅力に繋がっているのではないかなと思っています。
今回のキャビネットはクラシックな家具の源流の一つ、イギリスのビンテージ。
製造から100年を超えたビンテージアイテムは俗にアンティークと言われますが、使用のできるアンティーク家具の多くはイギリスのもの。
移ろいゆく歴史の中、変わってゆく王政に合わせて様々な装飾様式が生まれ、オークやマホガニー、エルムなど良質な家具材を用いて作られたアイテムは堅牢さと美しさを兼ね備えたものばかり。そして長く使えるということは大切に使い継いでゆくという文化的風習にも繋がっているのです。
その価値観の一端が垣間見えるのが今回のキャビネット。
表面はところどころ剥がれ長年使われてきたことが分かりますが、ボロボロでみっともないとは思わない安心感があります。
細かく見てゆきましょう。
天板にはじまり、抽斗や開き戸の戸板、そして脚部付近まで丁寧に施されたモールディング装飾。
天面の縁は上から2段階の彫りが付けれられて、その直線の要素が強調されています。
その縁の下側は上側とは異なるアールで削られ、目につく部分が少なくなるよう意図されていますね。
張り出した天板の印象を軽やかにするための細かな工夫が見て取れます。
ブロンズのような把手の付いた上段抽斗は、内寸約 幅79 × 奥行37センチ。
約11センチと深さもあるので、マグカップくらいでしたら並べて置けるのは嬉しいところ。
下段は鍵で開け閉めする開き戸。左の扉裏側にはカンヌキタイプのロックが掛かります。
こちらは1段に付き約30センチと高さがありますので、より大きなものやスタックしたプレートなどお好みに収納出来ます。
棚板もしっかり無垢の一枚板。これなら重いものでも安心して載せられますね。
あまり注目しない背板なんかも、厚みのある板を四方に面取りしているのは個人的に注目ポイント。
効率性を重視した現代のアイテムでは手間をかけにくいところ。落ち着いた環境でモノづくりを出来ていた時代を想像させてくれます。
全体に使用されたパインの無垢材は目の詰まった良質なもの。
寒い地域でゆっくりと育ったパイン材は少しずつ生長するので年輪の幅も狭く、より堅牢に。
日本で人気のペニーワイズでも欧州産のパイン材が使用されていたりするのですが、やはりそのあたりに理由がありそうですね。
今回のキャビネットはホワイトカラーにペイントされたもの。
長い間に塗装には色ムラや剥がれができ、傷もたくさん付いています。
そしてホワイトの下にはグリーンの色も覗いています。パイン材の色味に合うアーシーな色味ですね。
天板にはほとんどグリーンが見えない事から、おそらくホワイトペイントの前は天板がナチュラルで、その下がグリーンペイントだったのではないかなと見当をつけています。
人気ブランドのミナペルホネンでも擦れた生地の下から新しい色が見えてくるdopというファブリックがありますが、これも意図せず使い込む事が楽しくなってくる仕上げになっているのが嬉しいですね。
自分たちが気持ち良く使えるよう手を入れながら愛用する。
でもそれはしっかりと使える前提があってこそ。見て触って、安心して使える。それができる「ホンモノ」だからこそ、価値があるのだと思います。
それは使うごとに日常の気持ちを引き上げてくれるキャビネット。ビンテージの魅力を知る人に、使い継いで頂きたい逸品です。











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