PP Mobler
PP130 Circle Chair
圧倒的な作品数とクラフツマンシップの高さから、椅子の巨匠と称されるHans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)。
氏のプロダクトを目の前にするとつい、というか必然的にデザイナーのすごさやデザインの美しさばかりに注目してしまいます。
でも実際にそのデザインを具現化するのは職人さんたち。今回はそんなウェグナー作品に欠かせない縁の下の力持ちにもスポットを当てながら名作を深掘りしたいと思います。
円に宿る縁


1953年、デンマークに小さな工房が誕生しました。家具職人だった2人の兄弟、アイナー・ペダーセンとラース・ペダーセンが設立したPP mobler(ピーピーモブラー)。
今や世界中から熟練の名工集団として認識されるほどのトップブランドですが、創業当時はベアチェアをはじめとしたウェグナーの張りぐるみ作品を手掛けていたAP Stolen(エーピーストーレン)社の下請け工場だったといいます。


作るのは、全体がファブリックで覆われた木材によるフレーム部分。外からはまったく見えないけれど、自分たちの技術でできうる最高のものを提供するべく一切手を抜くことのなかったPPモブラーの職人たち。
その丁寧さは、細部にまでこだわる職人気質としても知られるあのウェグナーに「そんなに手をかけなくていいよ」と言わせるほどだったようで、工房としての情熱の高さを伺い知ることができます。


この出来事からウェグナーとの距離を縮めたPPモブラーは、廃業したJohannes Hansen(ヨハネスハンセン)社の製品を引き継ぐとともに、オリジナル家具となる「PP」の名を冠したデザインを次々に発表。
中でも代表作となったのが、ウェグナーが生涯をかけた椅子・サークルチェアこと「PP130」です。



その名の通り、サークル型の佇まいが特徴的な1脚。リング状のフレームにもともとヨットに使うためのロープであるフラッグハリヤードを放射状に張り巡らせることで程よいテンションが生まれ、極上の座り心地を実現しています。
また、背もたれに違和感を生じさせないためにロープには結び目を作らず金属製のクリップを採用したり、チェアとしては大型ながら容易に移動できるように後ろ脚にキャスターを配するなど、随所に趣向が凝らされたたデザインは秀逸としかいいようがありません。


じつは木材でつくるのは不可能だと、ウェグナーの中で長年温め続けられてきたサークルチェアのアイデア。それを叶えるために試行錯誤を共にしたのがPPモブラーでした。
円形を作り出す特別な機械が開発されたことで形となったPP130は、ずばり同工房の努力と情熱、そしてウェグナーのあきらめない心と深い信頼関係の賜物です。
自由にプロトタイプを制作するなどウェグナーが晩年まで通った唯一の工房、PPモブラー。デザイナーとメーカーの枠を超えた「2つの職人」の縁が円としてこの椅子にも宿っています。











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