AP-Stolen
AP27 Mama Bear Chair

本日は、巨匠ウェグナーの最高傑作と名高いベアチェアシリーズより現存数の少ないビンテージのコンフォートチェア、デンマーク" エーピーストールン / AP Stolen "『 AP27 ママベア チェア / Mama Bear  』のご紹介♪

安らぎを繋ぐ

Yチェアでもお馴染み、北欧デンマークの鬼才ハンス・J・ウェグナー。生涯で500点以上もの膨大な数の椅子を誕生させ、その殆どが名作と呼ばれています。13歳の頃より家具職人として修業を始め、その4年後には指物師マイスターの資格を取得。木に触れ、素材の特性を知りながら培った家具製造の経験が、同氏のデザインの基礎となっています。

「熊が手を広げている」ような愛らしいフォルム。同氏のコンフォートチェアの集大成と名高いベアチェアは、テディベアチェアやパパベアチェアと呼ばれています。またその奥さんである今回のママベアチェア、子供のミニベアチェア等、家族構成でデザインされたユニークなラインナップが存在します。

アンカー・ペーターセンにより創業した" AP Stolen "は、1951～1977年代にハンス・ウェグナーのデザインした張りぐるみの椅子を多く製造したデンマークの家具メーカーで、現在では廃業しております。

ウェグナーの作品は他にもCarl Hansen & Son、GETAMA、Ry Mobler等、其々の家具工房の得意分野に分かれて製造されていましたが、同社は特に「張りぐるみ」の技術が群を抜いて高く、ベアチェアシリーズは、フレーム製造をデンマーク内の優れた家具工房に生産を委託。張りをAP Stolenが手掛けていました。

AP Stolenが惜しまれつつ廃業となった後も、ベアチェアの製造はPP moblerにより引き継がれますが、当時PP moblerでは、張地技術に対してAP Stolen程の技術力は無く、フリッツハンセンよりエッグチェアの製造に精通する熟練職人2名を引き抜きました。しかしながらベアチェアの張りは難易度が高く、「エッグチェア5脚分の時間をかけて、ベアチェア1台が張り上がる」といわれる程でした。廃業した名工房の技術力がいかに高かったかが容易に想像出来ます。

そんな逸話を持つ名作パパベアチェアと比較すると、今回入荷のママベアチェアは、ゆったりし過ぎず身体のおさまりが良い事が特徴。その見た目も控えめで親しみやすいフォルムデザインとなっています。

「母グマ」の椅子単体としても、張りぐるみのアームチェアであるAP27や、特徴的なウィングバックのAP28、近年Carl Hansen & Son社より復刻したCH78等、形を変えながら続く長い歴史がありますが、その全てには母親の様に優しく包み込む安心感が内包されています。

今回は1954年に発表されたマニア好みの初期モデルが入荷。ウィングバックの無いスッキリとしたデザインは、初期型のビンテージのみで入手出来る希少モデルです。同作では座面の裏にソーイングデスク等で知られる名工"ポールディネセン POVL DINESEN"のスタンプが確認できます。

張りぐるみ技術ならではの優美な曲線を描く存在感。しかしながら女性的な意味合いを持つママベアでは、不要な厚みは抑えられ、肘掛けと脚部で使用されるチーク無垢材もスッキリとした見た目が印象的。重厚感を軽減させながら、北欧デザインらしい温かみある佇まいを演出してくれます。日本人の体格にもフィットする低く抑えられた座面高もチャームポイントです。

熊と呼ばれる張りぐるみアイテム。

どうしても"クマのぬいぐるみ"を連想してしまいます。

でも当たらずといえども遠からず。

癒しと安心感。その象徴的な意味が重なります。