チャーミングに惹かれて
天才。家具やインテリアの域を超えた美術作品。
有名なプロダクトしか知らなくて、これまではそんな風に氏の作品を見て、携わってきました。
今でも入荷するとワクワクが止まらない倉俣史朗のデザイン。でも、今回ちょっとだけそのイメージが変わったのです。
Pick up “ SHIRO KURAMATA ”
(お察しのとおり)先日、「倉俣史朗のデザイン - 記憶のなかの小宇宙」展へ行ってきました。
というわけで倉俣熱が冷めやらぬうちに、せっかくなので記録としてご紹介したいと思います。
入ってすぐは撮影OKゾーン。平日の昼間だったからか、ラッキーなことにひと時だけ貸し切り状態に。
豊かな自然の背景と倉俣作品。なんて光景はなかなか拝めなさそうなので、とりあえずいっぱい写真に収めておきました。
「01 Table & Chair」に、人工大理石「スターピース | STAR PIECE」のテーブル。そして、エキスパンドメタル(金網材)を使用した「ハウ・ハイ・ザ・ムーン| How High the Moon」。
祖師ヶ谷大蔵店で取り扱っていたこともありなんだか見慣れたつもりになっていましたが、実際に肉眼で見たのは初めてでした。
これ以降の展示は撮影不可ではありましたが、代表作といわれる有名なプロダクトはそのほとんどを見ることができます。
「オバQ」も「アンブレラスタンド」もしっかりとありました。
ちなみに、ギャラリーショップでちゃっかり販売されていたのは、過去にインプションでも取り扱ったことのあるフラワーベース「#1302 & #1303」。
さまざまな年代に製造された「ミス・ブランチ | Miss Blanche」は、スポットライトに照らされたその陰影でも楽しむことができます。
でも今回の展示にはなかったものも。これらは作品としての知名度はあまりないかもしれませんが、歴とした倉俣デザイン。
特にホテルのために作られたライティングデスクは一見センセーショナルとはかけ離れていますが、どこか引き出しの家具に通じるデザインではないかと改めて感じたところです。
ただ何より来てよかったと思えたのは、作品はもちろん、氏の残したイメージスケッチやノートに書かれた夢日記を見ることができたこと。
「クラマタ・ショック」なんて言葉まで誕生するほど世界に影響を与えるデザイナーがもつおちゃめな一面に、思わず笑ってしまうほどでした。
使うためではない家具があってもいいんじゃないかなんてちょっぴりぶっ飛んだ思考と店舗設計などで発揮されたファッショナブルな感覚。
それらが、作品がまとう空気や光と影をも組み込み、空間ごとひとつの作品にしてしまう不思議なデザインに繋がっているのでしょう。
そして時間や引力などの目には見えない何かを表現することで生まれるロマンチックな魅力が、作品をアーティスティックに映しストーリーを宿すのでしょう。
元から感じていたイメージに思いがけないチャーミングな一面が加わって、より倉俣作品が輝いてみえるようです。
ライティングデスク for 筑波第一ホテル
※今なら、経堂店にてもうひとつの倉俣作品を実際にご覧いただけます。