松本民芸家具
リーチチェア #72
華美な装飾を施した観賞用の作品が主流だった1920年代の工芸界。
それにより失われかけた日本各地の「手仕事」の文化。
そんな時代の流れにも屈さず一度は廃れてしまった民藝を情熱と技術で再築し、数々の名家具を生み出してきた日本屈指の家具メーカー“松本民芸家具”。
年月を重ねるほどに深みを増し、丈夫で耐久性に優れた家具を作り続けています。
当時の安易な西洋化の流れに、健全な美で答えた名工の名作。
本日は松本民芸家具の『リーチチェア #72』を紹介させていただきます。
民衆的工藝の情熱
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きっかけは大正時代の末、松本民芸家具の舞台である長野県松本にまで影響を及ぼした戦争。
日本屈指の和家具の産地として栄えていた松本もその影響を受けました。
家具生産の継続が不可能な状態にまでに追い込まれた松本。
そんな中、創始者である池田三四郎はこれからの日本の暮らしに必要とされるであろう洋家具を作ることによって復興を果たそうとします。
これが松本民芸家具の始まりといわれています。
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無名の名工を集め家具作りをスタートした松本民芸家具。
洋家具の知識すらない頑固な和家具職人と共に様々な洋家具を研究し忠実に習作。失敗を繰り返しながら着実に完成度を高めていきました。
この職人たちの血のにじむ努力こそが日本の伝統技術を守り、多くの名家具を生み出すことになる松本民芸家具の礎でした。
こうして誕生した松本民芸家具は50年前と変わらぬ情熱で、今日まで作り続けられています。
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今回紹介させて頂くのは、そんな日本が誇る松本民芸家具の人気作『リーチチェア』。
イギリスのアンティーク家具を思わせる落ち着いた色味と、和・洋のどちらのスタイルにも合わせやすい洗練されたデザインが魅力の逸品として知られる名品です。
洋家具をベースとしたデザインの中にどこか和家具特有の雰囲気を感じさせるリーチチェア。
この独特のデザインはある外国人が大きく関わったことで生まれたものでした。
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民藝運動を牽引し、各地の産地で制作指導などを行ったイギリス人陶芸家バーナード・リーチ。
リーチチェアは「西洋と東洋の融合」を目指して世界中で普及活動を続けた同氏がデザインを監製したチェアだったのです。
非常に軽快でシンプルなデザインが際立ちますが、足元には竹の節をモチーフにした装飾が施されていたりと繊細な部分も。
このディティールを筆頭にこのチェアには随所に民藝の情熱と技術が盛り込まれています。
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百木の長と詠われるミズメザクラを主材としている松本民芸家具。
虎の紋様のような杢目が特長のミズメザクラは狂いにくく硬いことでも知られています。
故に加工の難しい材料でもあります。
これを美しい家具に変えることが出来るのが松本民芸家具。
バックのアーチはナラ材を曲木技術により曲げたもの。
ミズメザクラの加工同様、かなり高度な技術を要する加工法により組み上げられています。
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座面の裏に彫られた、職人の「長く使ってほしい」という想いと「仕事に責任を持つ」という誓いの証。
何十年と使い込まれ、よりその輝きが増したときこそ、やっとその家具が完成する。
生活の為のデザインは民藝と呼ばれ、先人たちの努力と情熱そのままに残っています。
民藝の素晴らしさは国境を越え新しいデザインを生みました。
歴史の重みと深みを感じさせる逸品です。
お探しだった方は勿論、永く使える家具をお探しだった方はこの機会をお見逃しなく。
自由が丘店にて展示しておりますので、お近くにお越しの際は是非お立ち寄り下さいませ。