Scandinavian Vintage
Writing Bureau
年末になると目に留まるのは今年の漢字、流行語などの1年の締めくくり的なコンテンツたち。そして同時に、新しい年に向けた予想も始まります。
2023年のヒット予測のなかにあった「ステルス家電」なるもの。家具と一体となりその存在がわからない家電のことだそうです。
ローテーブルの天板下の抽斗を開けると冷蔵庫、なんて驚きです。でも、これからは家具も1台2役の時代に突入するのかもしれません。
工夫が生んだ二刀流
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複数の役割をもつ家具。利便性の追求。実は、その探究心は今も昔も変わりがないようです。
家電こそ隠されてはいませんが、収納と書台がひとつになった二刀流の代表格・ビューローは、イギリスの王政復古期(1600年代後半-1700年頃)に誕生したといわれています(この頃はセクレタリーと呼ばれていました)。
きっかけは、東インド会社によって中国や日本の櫃(ひつ・ふたが上に開く大型の箱)がイギリスに輸入されたこと。
それが聖書を入れるバイブルボックスの改良に影響を与え、現在のライティングビューローの形状になったそうですが、その由来に日本も関係していたなんてなんだか意外です。
手紙が唯一のコミュニケーションツールだった時代から、現代へと受け継がれてきたライティングビューロー。今回は前保有者様が北欧家具ショップでご購入されたというビンテージの逸品です。
イギリスアンティークとして主流のオークやマホガニー材とは異なり、用いられているのはチーク材。重厚さを和らげる北欧らしいシンプルなデザインです。
また収納家具ながら軽やかな印象を与えるのは、比較的コンパクトなサイズ感だからかもしれません。
省スペースで設置できるもともとのメリットに加えて、より日本の住空間にも取り入れやすい1台だと思います。
とはいえ、抽斗は3杯。フラップ式の扉を開けると小さな仕分け棚も備わり、チェストとしてもデスクとしても申し分のない実力を備えます。
ただ鍵は欠品しているので、大事なものは別の場所に保管していただく方が良さそうです。
改めて歴史を知ったうえで目の前にするビューロー。最新の1台2役にはない趣をまといつつ、便利さは引けを取らない、古来からの知恵を目の当たりにしているかのようです。
扉を開けるだけでそのままデスクに変身することが最大の特長であり魅力でもあるライティングビューローは、現代においてこそ重宝できる家具のひとつ。
暮らし方の工夫によって作り出された機能美を実際に使いながら味わっていただきたいと思います。