北の住まい設計社
CENTER TABLE
家具の名産地として知られる北海道・旭川エリア。
その豊かな木工文化を語るうえで欠かせない存在が、「北の住まい設計社」です。
旭山動物園からさらに山あいへと車を走らせた先、木々に囲まれた東川町の森の中には、工房をはじめ、ショールームやカフェ、ベーカリーがゆったりと点在しています。
家具を「つくる」だけでなく、その家具とともにある暮らしまで提案する場所として、多くの人を惹きつけてきました。
北海道の自然と職人の手仕事が育んだ、凛とした佇まい。
そんな北の住まい設計社から届いた一台をご紹介します。
家具は、手から生まれる。



「北の住まい設計社」。
その少し長い響きが、一度耳にすると不思議と記憶に残ります。
工房として使われているのは、かつて小学校だった建物。森に囲まれた静かな環境のなかで、今も変わらず家具づくりが続けられています。
このブランドが大切にしているのは、一人の職人が一台の家具を最初から最後まで手掛ける「ベンチメイド」という製法。
生産効率だけを考えれば決して合理的ではありませんが、木目や色味、木の個性を見極めながら、一台一台と丁寧に向き合うことで、この家具ならではの豊かな表情が生まれます。
本体に取り付けられたロゴプレートとは別に添えられた一枚のステッカーも、その証のひとつ。
「この家具は一人の職人が責任を持って仕上げました。」そんな静かなメッセージが込められています。

今回ご紹介するのは、チェリー無垢材を贅沢に用いたセンターテーブル。
現在ではラインナップから姿を消した樹種だけに、北の住まい設計社のものづくりを語るうえでも、どこか特別な一台です。
天板いっぱいに広がる木目は、さざなみのように穏やかな表情。
主張しすぎることなく、それでいて確かな存在感を宿したチェリーならではの美しさが楽しめます。
ふと視線を落とすだけで、木が何十年もかけて育んできた時間に触れるような感覚を覚えるはずです。


一見するとすっきりとしたデザインですが、細部に目を向けると、このブランドらしい仕事の丁寧さが見えてきます。
天板の左右には、反りを抑えるために取り付けられた横木。
そこで目を引くのが、側面から見える「組み継ぎ」と呼ばれる伝統的な木工技法です。
末広がりの台形に加工された凹凸がぴたりと噛み合うことで、釘やビスを使わずに高い強度を実現しています。
無垢材の伸び縮みに寄り添いながら、長く使い続けられるよう考え抜かれた、日本の木工らしい知恵のひとつです。
そして、この組み継ぎは単なる構造ではありません。
精度の高い加工があってこそ成立する意匠でもあり、普段は見えない場所だからこそ、職人の技術と美意識が静かに息づいています。
家具は表から眺めるだけでは分からないもの。裏側や細部に目を向けるほど、そのブランドが大切にしてきた思想が自然と伝わってきます。

年月を重ねたチェリー材は、まるで熟成を重ねたブランデーのように深く、艶やかな飴色へと表情を変えています。
職人が一台ずつ丁寧に仕立てたこと。
木という素材と真摯に向き合ってきたこと。
そして、誰かの暮らしの中で大切に使い継がれてきたこと。
そのすべてが、この色合いに静かに刻まれています。

新品では決して出会えない、この一台だけの風合い。
それは時を重ねた木の美しさだけではなく、つくり手の思想と、使い手が積み重ねてきた時間までも映し出しているようです。
暮らしにそっと寄り添いながら、これから先もゆっくりと表情を育んでいく家具。
北の住まい設計社が目指した「永く使う家具」という思想を、ぜひお手元で感じてみてください。































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