MODERNICA

Fiberglass Arm Shell Chair

20世紀の中で最もエネルギーに溢れた時代と言われるミッドセンチュリー期に生み出され、現在のデザインチェアにも多大な影響を及ぼした事で知られる 名作「イームズ シェルチェア」。

グラスファイバーを混ぜ入れた特殊なプラスチック素材によりその洗練された造形を与えられたシェルチェアですが、環境保護の観点から1990年より20年以上もの期間で生産が中止されており、それまでに生産されたものは"ビンテージシェル"として多くのコレクターによって収集される存在となっています。

今回は、当時のビンテージシェルの生産に実際に使われていた機械で作られる、かつてなく忠実な復刻品をご紹介致します。

実際に過ごした人、実際に使ったものだけが知っていること

ミッドセンチュリーにおけるもの作りの精神、そしてオリジナルへ対する並々ならぬ想いを持ち、50～70年代のデザイナーズ家具の復刻アイテムを手掛けるのが、カルフォルニア・ロサンゼルスに拠点を置く"MODERNICA モダニカ"社です。

その拘りは世界にも類を見ない程のものとして有名で、恐らく復刻品を手掛けるブランドの中では随一のクオリティを誇るブランドと言っても差し支えないでしょう。

こちら「ファイバーグラス アームシェルチェア」は、その名とルックスの通り、イームズの名作「シェルチェア」を現在に復刻した一点。

イームズシェルチェアは1949年に産声を上げ、その後生産中止されるまでにシェルに使用されるグラスファイバーの量が生産時期によって変化していった事から【1st (1953~1955)】【2nd (1955~1970)】【3rd (1970~1990)】と3つの名前で呼ばれていますが、これらビンテージシェルの中でも特に希少性が高いのが50年代に製造されたもの。

グラスファイバーを多く含んだ独特の質感は他には代えがたい風合いと趣を持ち、世界中のコレクターを惹きつけて止まない名品です。

モダニカ社が他のどの復刻品よりも決定的に優れている点を挙げるとするならば、それはまず使用している"機械"そのものにあります。

話はシェルチェアの発表当時まで遡りますが、当時シェルチェアを最初に生産していた工場であり、シェルチェアをハーマンミラー社に納品していた事で知られる「ゼニス工場」という工場がありました。

そしてそのゼニス工場で当初よりシェルを製造していたプレス機材等を そのまま受け継いだのが、他ならぬモダニカ社だったのです。

同社の本物への追求はそれだけに留まりません。

なんとモダニカ社は当時のゼニス社でプレス機を製造していた技術者や、シェルチェアの製造に深く携わった人物を探し出し、製造監督、スタッフとして自社に招き入れています。

その徹底ぶりには鬼気迫るものを感じてしまいますが、やはり当時のものを再現するには、当時実際にその場にあった機材、そして現場に当たった本人しか知りえぬ"作り心地"、そういったものが実際に揃わないと 真実に迫る事はできないという事なのでしょうか。

シェルに使用されるグラスファイバーの含有率はシェルのカラーごとに微妙に調整されており、その匙加減はまさに当時のクラフトマンシップそのもの。

プレス機での圧縮を経たシェルを一つ一つ手作業でヤスリがけしていくというのも熟練の業によるものです。

現在のように"レーザーでカット"といった事ができない時代、マシンと人間による手仕事が高いレベルで融合したバランス感は、まさにミッドセンチュリー期ならではのものと言えるでしょう。

ミッドセンチュリー期の名作において、一度生産が途絶えてしまったものはその製造ノウハウも消失してしまう事が多く、そうしたものが今に受け継がれているという事実は、家具に限らず広い世界において珍しい事ではないかと思います。

例えば、ミッドセンチュリー期に生み出された名作楽器"オリジナルバースト"等は今となっては伝説的な存在のなってしまったものであり、その点、モダニカ社はミッドセンチュリーの歴史を知る上でも貴重な存在であると言えるのではないでしょうか。

「モダニカ MODERNICA ファイバーグラス アームシェルチェア」如何でしたでしょうか。

こちらは脚部にロッキングベースを備えた、普段使いにおいても大変リラックスしてお使い頂ける一脚。

シェルの色はモスカラーとなっており、趣溢れる佇まい、空間に対しても抜群の雰囲気を醸し出す逸品となっております。

座高が41cmとやや低く ゆったりと寛げるので、映画を見たり、少し本を片手に寛ぐだけでも贅沢な体験をさせてくれる筈です。

ご自分のご褒美や、とっておきのインテリアとして、是非この機械に如何でしょうか。