PLYCRAFT
Mr. Chair

「一番好きな家具は？」と聞かれたら、迷わず“椅子”と答えます。
ただ座るための道具なのに、形もデザインもとにかく個性的。
椅子コレクターが世の中に存在する理由、すごくよく分かります。

でも、個性だけじゃ“名作の椅子”にはなれません。
どれだけデザイナーのこだわりが詰まっていても、座り心地がイマイチだと自己満足で終わってしまいます。
永く愛される椅子は、やっぱり「デザイン」と「座り心地」の両方が揃ってこそ。

そして今回入荷した椅子、まさにその両立を果たした一脚。
ひと目見ただけで感じる“ただものじゃない感”。

さらに座ってみるとこれがもう、想像以上。
包み込まれるような座り心地で、腰を下ろしたら最後、動きたくなくなります。

正直、これが自宅にあったら、休日はほぼこの椅子の上で過ごしてしまう自信があります。
そんな魔力を秘めた一脚。ご紹介させて頂きます。

すべてを兼ね備えた『Mr. Chair』

1953年、アメリカ・マサチューセッツ州で誕生したプライクラフト（PLYCRAFT）社は、社名が示す通りプライウッド（成形合板）分野において先進的な技術を誇るメーカー。

ハーマンミラー社が手がけるチャールズ＆レイ・イームズの「ラウンジチェア」の背面パーツをはじめ、ノーマン・チャーナーがデザインした名作「チャーナーチェア」の製造にも携わるなど、その確かな技術力で数々の名品を支えてきました。

同社が培った“曲木”や“成形合板”のノウハウは、アメリカのミッドセンチュリー期における家具デザインへ多大な影響を与え、今なお高く評価されています。

今回ご紹介するのは、プライクラフト社を代表する名作プロダクト「ミスターチェア（Mr. Chair）／オットマン付き」。
羽を大きく広げたように伸びるアームのラインが美しく、見る者の目を引く存在感あるラウンジチェアとなっています。

イームズのラウンジチェアを思わせるような風格を備えつつ、背もたれから座面へとつながる一体成型のシェルデザインが特徴で、プライクラフトならではの流れるような造形美を堪能いただけます。

滑らかに弧を描くフレームラインに対し、四方へ端正に伸びる直線的なベースが美しいコントラストを生み出しています。
このバランスの取れたデザインが、視覚的な心地よさだけでなく、しっかりとした安定感のある座り心地にもつながっています。

今回は嬉しいことにオットマンもセットで入荷しており、どちらも座面が360度回転する仕様となっています。

さらに、わずかではありますが高さの調整にも対応しており、お好みに合わせた快適なポジションでお使いいただけます。

シート部分は専門の張替え業者に依頼し、新品の合皮へと張り替えを行いましたので、コンディションも非常に良好。

鮮やかなパープルでありながら、ウォールナットの深みある木肌と組み合わさることで、派手さを抑えた上品さと愛らしさを兼ね備えた絶妙な色合いに仕上がっています。

座った瞬間に感じられるしっとりとした質感と清潔感のある仕上がりは、新たに迎え入れる家具としても安心してお使いいただけます。

長い年月を経てほどよく味わいを増したウォールナット材の木肌は、落ち着きのある表情をまとい、その存在だけで空間に深みを添えてくれます。

ヴィンテージらしい風格を楽しみながらも、どこか新鮮さを感じられる魅力的なコンビネーションです。

本作をデザインしたのは、「ジョージ・モルハウサー/George Mulhauser」。
ジョージ・ネルソンのスタジオに在籍した経験を持ち、名作「ココナッツチェア」を生み出したことでも知られる実力派デザイナーです。

洗練されたモダンデザインの中に、どこか親しみやすい柔らかさを忍ばせる彼のスタイルは、現在でも高い評価を受けています。

ミッドセンチュリーを象徴するデザイン性を備えつつ、素材の風合いやカラーリングが柔らかさも感じさせるため、幅広いインテリアに調和します。

ウォールナット家具を中心とした落ち着いた空間はもちろん、北欧ヴィンテージやナチュラルテイストのお部屋にも自然と溶け込むだけではなく、パープルの差し色が効いているため、モダンなお部屋や個性的なコーディネートのアクセントとしても活躍してくれます。