Frank Lloyd Wright
TALIESIN 2
誰もがきっと子どもの頃に遊んだことがある積み木。積む、並べる、崩すだけの単純な作業なのに、さまざまな形を作ることができる知育玩具です。
もともと1838年に幼児教育の父と呼ばれるドイツの教育学者、フレーベルが考案したGabe(ガーベ・恩物)が原型となっています。
幼き頃そんなガーベに夢中だったひとりの少年は、いつしか天才と呼ばれるようになりました。
原点はガーベ?
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近代建築の巨匠のひとり、Frank Lloyd Wright(フランク・ロイド・ライト)。氏の豊かな感性を育んだのは積み木でした。
「四角や三角、球といった単純な形を組み合わせたら、どんな形も作り出せる。」もしかしたら少年時代から人とは少し違った視点で遊んでいたのかもしれません。
自身も幼少期の経験が作品に影響を与えたと述べているそうで、実際にライトの建築には幾何学体や模様が多用されています。
そう考えると照明シリーズである「タリアセン | Taliesin」もまた、ブロックとプレートによる巧みな構造が積み木のように思えてくるのです(1はちょっと違います)。
自邸であり学校であり工房でもあったアメリカ・ウィスコンシン州の建築群のために作られたフロアライト「タリアセン2 | TALIESIN 2」。
タリアセンペンダントとして現在も製造されている吊り下げ照明を基に、1952年に設計されました。
一度見たら忘れられないほど特徴的なアート作品のような建造物のようなデザイン。実は単純なパーツが反復されているだけなのに、一見複雑そうな錯覚を覚えてしまうから不思議です。
これぞ建築家らしいセンス。そして、積み木で養った想像力に創造力、感性や感覚が存分に発揮されているといって間違いないでしょう。
ただこの構造は見た目の美しさだけを構築するものではありません。光源をブロックに内包することでグレア(眩しさ)を制御する。
さらに遮光板の役割を果たすプレートにより、光の広がりを上にも下にもコントロールすることができる。だからこそ灯る光は柔らかく、木漏れ日のように空間を静かに照らしてくれます。
これだけの巨匠の作品ともなると、こんな読みきりのブログでは足りないほど書きたいことが次々と出てきます。
今回は積み木の視点から綴ってみましたが、魅力をしっかりとお伝えできているだろうかと少しばかり不安に…なったのも束の間、早速旅立ちが決まりました。
でもきっとタリアセンの美しさは、語らずともその佇まいだけで十分伝わるはず。次にお目にかかる機会があれば今回とはまた異なる切り口で魅力を書き綴ってみたいと思います。