Bernard Castro
Convertible table
原始人の石器に始まり、新たに生まれたアイデア、構造、仕掛けは人々の生活をより豊かにし、リレーのように受け継がれ文明が発展してきました。
輪ゴム、安全ピン、クリップ、テープ。
身の回りにある今では当たり前に存在するこれらのものも、突然の閃きや熟考の末に生まれたものであります。
本日ご紹介するこちらのテーブルも、アメリカのミッドセンチュリー期に画期的な発想により生まれた一台です。
『最初』のテーブル
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ウォールナット調デコラトップのUSミッドセンチュリー感溢れるこちらのテーブル。
見た目からは想像し難いですが、なんとローテーブルとダイニングテーブルの切り替えが可能な一台2役の品です。
側面下のレバーをスライドするとロック解除可能。
そのまま天板を引き上げると・・・
このようにダイニングテーブルへと早変わりします。
1950~60年代のビンテージ品故、ちょっと癖がありまして、下の写真のように上まで持ち上げた後にヒンジを手で押し込むことでロックが掛かる状態となっております。
ちょっと面倒と感じるかもしれませんが、そんなに頻繁に上げ下げするご家庭は少ないでしょうし、何よりこの面倒くささがビンテージの魅力でもあります。
便利になりすぎた世に暮らす我々にはこれくらいが丁度いいのだと、自分に言い聞かせてください。
個人的にはこのギミックと手間がとてもワクワクします。愛着も一層増すってもんです。
ダイニングテーブルモードにすると、同時に天板が少し持ち上がります。
これを回転させて開くと・・・
こうです!
いや~素晴らしい・・・。これはジーニアス。
コンバーチブル式のテーブルは今でこそ珍しくありませんが、これはまさにその祖でありますので、何とも感慨深いものがあります。
デザインを手掛けたのは、コンバーチブルカウチの発明者でもある“バーナード・カストロ / Bernard Castro”。
コンバーチブルカウチとは今でいう可変式のソファベッドだったり、座面下に収納のついたソファだったりするアレです。
イタリアのシチリアで生まれ15歳で渡米。その後、高校を卒業することなく椅子職人の見習いとなった少年は、数十年後に世界で初めてこのタイプのソファを発明し大成功を収めます。
アメリカンドリームを掴み取ったカストロは晴れて億万長者に。『社会の中で、逆境に面しながら成功を収めた傑出した人物』に与えられる、「
ホレイショ・アルジャー賞」を受賞したそうです。
近年販売されているこの手のテーブルは機能優先の為デザイン的にどうしても寂しくなりがちですが、家具デザイン黄金期ともいえるミッドセンチュリー期に作られたこちらは、露出したスプリング等機構のスマートさは無いものの、どことなくメカニカルで八の字の脚部からは建築的な美しさも感じられます。
『最初』のコンバーチブルテーブルとして生まれた、バーナード・カストロデザインのテーブル。
中古市場でもほとんど流通のない非常に珍しい一台です。