Herman Miller
Two Piece Plastic Chair DCM
ミッドセンチュリーを象徴するデザイン界の巨星、チャールズ&レイ・イームズ夫妻。
彼らが残したものは、時代を超え人々の心を掴む、真に普遍的なデザイン。
シンプルな構造だからこそ、単なる家具を超え人々の心を捉える理由が存在します。
合理性と機能美を追い求めながらも、軽やかさと温かみを失わない彼らのデザイン哲学。
本日ご紹介するのは、そんな二人が生み出した名作の中でも、ユニークな背景を持つ一脚です。
普及の名作をアップデート
イームズ夫妻の代表作の一つ、プライウッドチェア「DCM」。
木材が主流だった時代に成型合板を取り入れたその革新性は、プロダクトデザイン界を震撼させました。
20世紀を代表するチェアとして、今もなお世界中の人々を魅了し続けています。
今回ご紹介するのは、そのDCMをさらに進化させた「ツーピースプラスチックチェア」。
完成された美しいフォルムはそのままに、素材と構造が大胆に刷新されました。
その新素材はプラスチック。斬新な素材使いが大胆な進化を遂げました。
DCMではメタルレッグとプライウッドを組み合わせていましたが、この椅子ではFRP(ガラス繊維強化プラスチック)がシェルに採用されています。
柔らかな質感と控えめな光沢が醸し出す佇まいは、空間に軽やかな印象を与えます。
成型合板と比較すると、座り心地には一層の安定感が感じられます。
構造面でもDCMと異なる工夫が光ります。
フレームと本体を接合するネジ部分には、椅子本体に埋め込まれたナットを使用。
黒いゴム製のショックマウントを接着していた従来の方法とは一線を画し、耐久性を大幅に向上させています。
さらに、座面と背面には高密度のモールドウレタンを採用し、クッション性を格段に向上。
ニューヨークの老舗テキスタイルブランド、マハラム社による鮮やかなブルーのファブリックシートが、印象的なアクセントに。
縁を引き締めるブラックカラーとのコントラストが、空間に上品でモダンな印象を与え、インテリアとしての存在感をより際立たせてくれます。
普及の名作と呼ばれる夫妻のデザインのアップデート版。
変化する社会のニーズに応えるべく、素材の特性を最大限に生かしつつデザインを進化させた、まさに彼ららしい革新的な取り組みでした。
このモデルは1971年からわずか10年間のみ生産され、現在では製造されていない希少な逸品です。
時代の先端を走り続けた二人が描いた未来のデザインをぜひご体感ください。