Japan Vintage
Wooden Cabinet
古家具の魅力にはまってから、その暮らしにも興味が湧くようになりました。
明治村、たてもの園、旧白洲亭。さまざまな場所を訪れる中でとりわけ忘れられないのが、現代を生きるモガ(=モダンガール)・淺井カヨさんのご自宅です。
小平新文化住宅として一般にも公開されている宅内は、当時の生活を最大限に生かしたいわゆる大正ロマン。それはもう印象的の域を超え、刺激的なものでした。
受け継ぎたいノスタルジー
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明治以降、西洋の文化が一気に押し寄せた日本。洋館にクラシカルな家具が取り入れられる一方、日本らしさが失われることはなく、和洋のミックススタイルへと昇華されていきます。
この家具もまた、そんな折衷を感じられる趣きあるジャパンビンテージです。
唯一の装飾は、西洋的なレリーフ。そしてアールデコを彷彿とさせる直線的で左右対称のフォルム。使われているのはナラ材でしょうか?(板面は杉材が用いられています)
その中で、日本らしさを感じられる箇所といえば異なる風貌の2つのガラスです。
上段には、ゆらめきが癒しを与えるゆらゆらガラス(一部新しいガラスに差し替えられています)。日本ではガラスの技術は木工に比べると歴史が浅く、その当時は均一に伸ばすことができませんでした。
そのために生じてしまった揺らぎ。完ぺきではない仕上がりも、今となっては愛おしいものです。
続いて下段のダイヤガラス。昭和10年頃から製造され始めた日本では最も古いとされる型ガラスで、ランダムな凸凹がキラキラと光を反射させるさまはダイヤモンドのよう。
見た目の美しさもさることながら、ガラスの向こうがぼやけてみえるので目隠しとしての役割も果たしています。
そんなガラスだけでも味わい深い逸品ですが、収納棚としての実力ももちろん申し分なし。幅170cmにもせまる大型サイズで、言わずもがな大容量の収納力を誇ります。
食器なら重ねれば何十枚、何百枚としまうことができそうなので、つい買い足したくなってしまうかもしれません。
さらに、ガラス以外の金具も家具全体の風合いを増すさりげない脇役として活躍しています。
ガラガラと音を立てそうにみえる扉も開閉はスムーズで、どちらかといえばスーッと滑らかな動き。差し込みの鍵は欠品していますが、何か棒状のもので代用すれば施錠することができます。
なお最後にひとつだけ、お伝えしておかなければいけない点があります。古い家具ならではの傷みがあるのも事実。今回は、いたるところに隙間が生じています。
強度面での問題はありませんが、新しい板を敷いたりトレイやお盆を活用したり、ぜひそんな経年の証もひっくるめてご愛用頂きたいと思います。
和洋折衷の歴史を引き継ぎ、昭和に生を受けたと思しき収納棚。木肌からもガラスからも金具からも、レトロ感が溢れ出ます。
ただ佇まいが素敵なだけでなく、生活を豊かにしてくれるもの=技術の発展だけじゃないと思わせてくれる、少しだけ不器用でぎこちなさを残す古家具。
失いたくないノスタルジーを、ぜひ受け継いでみませんか。