Krenit
Bowl
世界をより良い場所にする為に向上が続けられた科学技術。
その一部の技術は軍事利用され、実際に兵器として使われていたものもあります。
多くの技術が生まれた50年代。
それらの技術は終戦と共に消え去った訳ではありませんでした。
イームズがプライウッドを軽やかな家具に変えたように、世界をより良い場所に変えたのはデザイナーの力もあったはず。
本日紹介させて頂くのはミッドセンチュリーの代名詞ともいえる名品。
クレニットのボウルを紹介させて頂きます。
機能と美のバランス
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1950年代、所謂ミッドセンチュリー期。
様々な要因が重なり多くの名作が生み出された時期です。
その中でしばしば見かけるフォルムこそ本日紹介させて頂くクレニットのボウル。
度々フューチャーされる名作家具に劣らないデザインの美しさを持つ逸品です。
無駄を省いた純粋な美しさ。
クレニットのボウルは度々このように評価されています。
美しいフォルムと上品な鮮やかさ、そしてストレスの無い実用性。
デンマークで誕生したクレニットボウルはそれらの魅力から、海を越え世界中でヒットしました。
デザインを手掛けたのはデンマークはコペンハーゲンの科学者、ヘルベルト・クレンチェル。
これほどの美しいデザインを手掛けながらもデザイナーではなく材料研究者であり土木技師である彼。
戦後の進歩した工業技術を活かし、美しい生活用品を作りたい。
この想いが研究者である彼を突き動かしました。
デンマーク工科大学で工学修士号を取得したヘルベルト・クレンチェル。
終戦後の1950年代、材料と繊維強化に焦点を当てた研究と同時にデザインに取り組んだそう。
様々な素材を組み合わせ試行錯誤を繰り返したどり着いたのが鮮やかなエナメルでのコーティングを施したボウルでした。
そして1953年。
機能的で繊細な美しいボウルを作ることを目的に完成された名作は瞬く間に普及。
鮮やかで無駄のないデザインは生活を照らし彩ったに違いありません。
デンマークを代表する高品質なデザインと評されるほどになったクレニットボウル。
翌年1954年にはミラノトリエンナーレでゴールドメダルを受賞。
その地位を確固たるものにしました。
時代の流れと共に次々と生み出される新技術。
それに伴い、見直される技術も多くあります。
クレニットもその一つでした。
ボウルに使われるエナメルは環境に良くないものとされ1966年に工場が封鎖。
ヘルベルト・クレンシェルは、高品質のボウルを製造できるメーカーを見つけることができず、製造中止を決定しました。
クレニットボウルは13年という短い期間にしか製造されなかったのです。
近年になりノーマン・コペンハーゲンにより復刻されたクレニットボウル。
生活の為の美は時代を超えて人々に響いたのかもしれません。
触れたくなるデザインである事、機能と美のバランスが必要である事。
ヘルベルト・クレンシェルはデザインに対してこう語っています。
当時の空気を含んだ希少な名作、クレニット。
ビンテージの逸品であると同時に、戦後の努力の結晶である逸品のご紹介でした。
クレニット Krenit ボウル ミントグリーン
クレニット Krenit ボウル バーミリオン