Carl Hansen & Son
CH07 Shell Chair
デンマークを代表する老舗家具メーカー カールハンセン&サン Carl Hansen & Son。
高い技術と革新的なデザインで創業から100年以上経過した現在でも世界中の人々から愛されています。
北欧家具を語るには欠かせない存在。
そんな一流メーカーと世界的なデザイナーが手がけた独創的な名作をご紹介致します。
時代を追い抜いた先進の美学
『椅子の巨匠 』と称されるデンマークの家具デザイナー ハンス・J・ウェグナー。
生涯で500種類以上の椅子をデザインし、20世紀の北欧家具のデザインに多大なる影響を与えました。
優雅な木の曲線と職人技を集約した彼の代表作には「ザ・チェア」や「Yチェア」などが挙げられます。
これらのデザインは卓越した機能性と美的センスの融合によって生まれた、北欧モダンデザインの金字塔。
彼の作品は世界中の美術館やコレクターのコレクションに収められ、時を超えて称賛されています。
「美しいだけでなく使う人に寄り添う」という独自の哲学。
ウェグナーが生み出す作品はミニマルながら温もりを感じさせます。
今回ご紹介するのは、1963年に誕生したch07、通称「シェルチェア」。
発表当時、革新的なデザインで業界を驚かせましたが、一般の理解を得るには至らず、製作されたのはわずか数台。
しかし、1998年にカール・ハンセン&サンが復刻すると、瞬く間に注目を集めました。
最大の特徴は広げた羽のようなフォルムと、アーチを描くテーパー付きの脚。
椅子がまるで浮遊するような軽快さを与えています。
緩やかなカーブを描く座面と背もたれには、優れた使用感を与える優しいブルーのファブリックの張地が施されています。
一枚の合板から成形された2本の前脚と、別々に作られる後ろ脚。
美しいフォルムと安定性を兼ね備えた、唯一無二のデザインです。
今見ても全く古さを感じない時を超える存在感。
60年前に生み出されたとは思えないその先鋭的なデザインは見るたび、触れるたびにその美しさを再発見させてくれます。
ウェグナーの美学が息づき、単なる家具の枠を超えた、まさに芸術品ともいえる逸品のご紹介でした。