Kartell
ALTA TENSIONE
ダネーゼのりんごのシルクスクリーンの印象が強く、個人的にはポップなイタリアンデザインというイメージのデザイナー、Enzo Mari(エンツォ・マリ)。
実はデザイナー以外にも、アーティスト、グラフィックデザイナー、評論家、そして理論家という多くの顔をもっています。
「遊びは時間つぶしではなく、世界を理解するために必要なのです」
論理的な思考で理想を追求し一切の妥協を許さない。この言葉からも、同氏の堅実さが伺い知れます。
賢人のハンガー
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そんな人物像から多くのデザイナーの“ 理性 ”として拠り所になったエンツォ・マリ。
勝手に抱いたポップなイメージとは異なり、すべてのデザインは心理学や構造の研究など、緻密な分析に基づいたアプローチから導き出されているんだそう。
その信頼感は、前述のダネーゼのほか、ドリアデ、ザノッタ、ポルトロナ・フラウ、アルテミデなど数多くの世界的ブランドに広まり、次々に作品を発表していきます。
そして、それはイタリア最大のプラスチック家具メーカー、Kartell(カルテル)でも。
アルミ製の支柱の先端に半透明プラスチック素材をあしらったミニマルなコートハンガー、「アルタテンシオーネ | ALTA TENSIONE」。
直訳すると高圧の意味をもちますが、この軽やかな見た目に高圧的な印象は一切感じさせません。
異素材が作り出すコントラストにシルバーとホワイトが清潔感を与え、佇まいはオブジェのよう。
また、2種のフックが交互に開くトップ部分は花のようにも見え、イタリアンモダン特有の遊び心すら感じさせます。
論理的で硬派でありながら、多くの人を虜にするユーモアがある。そして品質や仕上がりにこだわる純粋さがある。
これが、作り手にも使い手にも愛される理由です。
イタリアはミラノに生まれ、ミラノで生涯を終えた氏。同国では巨匠であるとともに、賢人と認識されているそうです。
この一見シンプルなアルタテンシオーネに隠された複雑なアプローチを想像しながら使ってみる。
「実際に触れて使う時間もまた、世界を理解するために必要なのです」とマリが語り掛けてくるようです。