AVARTE
Sirkus 3 Seat Bench
家具デザインの黄金期として、今でも多くのデザイナーに影響を与え続ける「ミッドセンチュリー」。
中でも「スペースエイジ」と「ポストモダン」は、人々に大きな衝撃を与えた異質な存在です。
当時主流であった機能性や合理性を重視したスタイルからの脱却を目指したもので、当初は恥ずかしいものとしてその存在を消されそうになったこともあるんだとか。
ポストモダンと言えばイタリアのイメージが強いと思いますが、実は北欧・フィンランドからも唯一ポストモダンに参加したデザイナーがいました。
60年代のスペースエイジから80年代のポストモダンへ、新しいデザインへの挑戦を忘れなかった巨匠、Yrjo Kukkapuro(ウリヨ・クッカプーロ)のデザイン遍歴が垣間見える逸品のご紹介です。
スペースエイジからポストモダンへ
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クッカプーロの初期の作品はハイミ社から発表されていますが、こちらはその後メインデザイナーとして活躍したフィンランドの" アヴァルテ AVARTE "社にて発表された「 サーカス Sirkus 」シリーズの3連ベンチです。
時代を超越した家具をコンセプトに数々のプロダクトを生み出し続けるアヴァルテ社。
学校や病院、駅や劇場などの公共空間のデザインにも力を入れていたことから、クッカプーロも多くのプロジェクトに参加し、広く活躍しました。
サーカスシリーズもまた、元々公共の場やオフィスのために設計されたと思われる多目的シリーズ。
シートはローバック・ハイバック、脚部は固定ベースやキャスターベースなど用途によって選べ、カラーバリエーションも豊富にあったようです。
今回の個体はブラックのクッションにナチュラルなプライウッドといったシンプルな組み合わせですが、同シリーズを画像検索してみるとポストモダンらしいホワイト・レッド・ブルーなどのカラーリングが多く見られました。
クッカプーロのデザインのルーツには、機能主義で知られるイルマリ・タピオヴァーラの存在が大きく関わっています。
アルテック社にて復刻販売されている代表作のカルセリラウンジチェアにしても、今回のサーカスベンチにしても、一貫しているのは人間工学と素材の特性を生かしたデザイン。
見た目は機能主義と相反するポストモダンでも、深掘りすると実は近代主義の一面もあったのです。
プライウッド素材の特性である、しなやかさを活かしたシートデザイン。見た目の美しさはさることながら、ハイバックということもあって安定した座り心地を実現しています。
後ろ姿もプライウッドの曲面が美しく、壁付けしてしまうのはもったいないくらいです。
そう思った方は、贅沢に空間の中央に設置して、間仕切りのような使い方をしてみて面白いと思いますよ。
デザインの最前線で活躍していたクッカプーロが80年代ポストモダンに転じた代表的なサーカスシリーズ。
近年人気の復活が見られるポストモダンや80'sブームの流れで、改めて再注目されていくことでしょう。
3人掛けのベンチタイプは、国内ではまず出会えない希少品です。
クッカプーロのデザインを是非この機会に手に入れてみてはいかがでしょうか。