ANGLEPOISE
Type75
デザインの良さは使い心地の良さに伴うべきもの。
使ってはじめて分かるデザインの良さがあるのもまた事実です。
それが関係してか思いがけないスタートや閃きから生まれたというデザインも少なくありません。
誰もが知る名照明“アングルポイズ ANGLEPOISE”のタスクランプもその一つ。
自動車メーカーのエンジニアがサスペンションの技術や経験を活かし生み出したのが名作「1227」でした。
この歴史的発明はデザインの原点として瞬く間に広がることに。
本日紹介させて頂くのは時代と共に進化した名作です。
時代を照らす照明
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自動車メーカーのエンジニアであったジョージ・カワーダイン。
1916年、チーフデザイナー兼工場長として活躍していた彼はサスペンションの技術や経験を活かしサスペンションシステムを専門とする自社の設立のため独立します。
様々な自動車サスペンションの開発を行う傍ら、カワ―ダインはそのメカニズムを他の分野で応用できないかと考え、スプリングと重量に強い関心を寄せることに。
これがアングルポイズのはじまりでした。
時代の流れや嗜好と共に、アングルポイズのデザインは工業的なイメージからエレガントなスタイルを持つ照明と認識されるようになったそう。
世界中に普及したアングルポイズのランプはタスクランプのアイコン的存在として広く知られるようになりました。
映画会社ピクサーのキャラクターとして有名なLUXO Jr.のルーツもANGLEPOISEにあったりと、キャッチーで生き物の様なフォルムは様々なシーンに浸透しました。
しかし時代はグローバルマーケットの時代に突入。
海外の安価なコピー商品が出回るようになります。
激しく変わりゆく時代。
それと共にニーズや嗜好は大きく変わりデザインも変わらざるを得ない時が来ます。
しかしアングルポイズは変わる事はなく、進化を選びました。
デザイナー志向のマーケットを対象としたブランドの再構築と新しいデザイン開発を試みたのです。
新しい試みへのヒントはきっと自分たちの歴史のなかにあると考えたアングルポイズの経営者サイモン。
企業アーカイブの中に偶然、コダックのポケットインスタマチックカメラや高速列車Inter City 125、ロンドンタクシーなどのデザインで知られるケネス・グランジのインタビューを見つけたそう。
サイモンは直感しケネス・グランジを顧問デザインディレクターに迎えました。
ケネス・グランジはそのインタビュー内でアングルポイズに対してこのような言葉を語っていたそう。
「これはバランスのちょっとした奇跡」
様々な偶然が重なり生み出されたのが「Type75」でした。
レトロな雰囲気と現代的なスタイリッシュさ。
70年代のクラシカルなデザインを尊重しながらもどこか感じさせる洗練された新しさはケネス・グランジのデザインセンスとアングルポイズへのリスペクトを感じさせます。
激しい時代の流れにも、デザインの本質は失わない。
Type75は現代にあまりにも魅力的に、且つしっかりと時代を照らし続けます。
首を傾げたような擬人的なフォルムは、そっと語り掛けているかのよう。
手元を優しく「照らす」というひとつの作業に命を与えることが出来るのはアングルポイズだけなのかもしれません。
手元だけでなく、未来をも照らしてくれる名作照明のご紹介でした。