artek
TABLE 90B & Chair 66
北欧スタイルの木製家具。
デンマークデザインを筆頭に装飾の無い実直な家具は北欧ビンテージの名家具として親しまれています。
それらが作り出された半世紀以上も前のこと。
それらの北欧家具が世間での当たり前だった時代に「シンプル」の衝撃を与えたデザイナーがいました。
本日はフィンランドが生んだ20世紀を代表する世界的なデザイナー、アルヴァ・アアルトが手掛けた名プロダクトを紹介させて頂きます。
削ぎ落された完成形
有機的なフォルムながら感じさせる素材の温もり。
デザインを手掛けたアルヴァ・アアルトはプロダクトデザインだけでなく、建築から家具、ガラス食器などの日用品のデザイン、絵画と幅広く活動していたことでも知られています。
そんな彼が3人のデザイナーと共に始めたのが、北欧を代表する家具・照明メーカー、アルテック。
Art(芸術)とTechnology(技術)を掛け合わせ命名されたアルテックは現代まで、その名の通り素晴らしいプロダクトを作り続けています。
北欧の近代建築家としてもっとも影響力があった1人であるアアルトは、モダニズムに対する人間的なアプローチで多くのデザインを手掛けました。
その代表として知られる名プロダクトがスツール60。
完成されたデザインは現在でも多くのシーンで見かける事が出来ます。
今回ご紹介させて頂くテーブル90Bとチェア66も、スツール60の素晴らしいエッセンスを受け継いだプロダクトです。
近代建築に自然素材を取り入れることで温もりのある作品を作り名声を得たアアルト。
母国を愛し素材を活かした温かなデザインは家具にも反映されています。
主材に用いられているのはフィンランド産のバーチ無垢材。
極限にまでシンプルなデザインながらアアルトらしさである温度感を感じさせる箇所でもあります。
特徴は脚の加工法にもあります。
通称「 L レッグ 」と呼ばれる柔らかな曲線を描く脚は、バーチ無垢材の上部に切り込みを入れ、薄い板を挟みし、加圧して曲げるという特殊な曲木技術で加工されているもの。
これはアアルトが試行錯誤を重ね生み出した、素材としての木材の可能性を大きく広げた革新的なものでした。
デザインだけでなく強度の面の実用性も叶える。
使われる為の実用性と削ぎ落されたデザイン美の融合こそアアルトのデザインの特徴といえます。
多くのスウェーデン人がフィンランド国内に住んでいた時代に生まれたアアルト。
フィンランドの異なる民族が共同で暮らすその時代だけの独特の雰囲気があったと言われています。
アアルト自身、そういった雰囲気の中で彼が受けた学校教育は彼自身の自我を形成するための大きな一因であったと語っています。
その環境があったからこそ、彼は今までにない新しいデザインを生み出せたのかもしれません。
ナチュラルな色合いとシンプルな構造、素材感を最大限活かした高いデザイン性は、美しく調和し、どんな空間にでも馴染んでくれます。
機能性と実用性、美しいデザインを兼ね備え、人々の生活をより良くし、美しく彩る。
それがフィンランドデザイン。
そう言われるようになったのは彼がフィンランドデザインの本質と歴史を一番に理解し形にできる才能を持ち合わせていたからではないでしょうか。
アアルトが削ぎ落しても本質は損なうことは無い。
シンプルだからこそ感じ取ることが出来るデザインの力強さがあります。
artek TABLE 90B
artek Chair 66 A
artek Chair 66 B