Akimoku
Vintage Round Table
たった5分。歯を磨いてちょうど口をゆすいでいるくらいの、インスタントラーメンを2、3口すすったくらいの、それくらいの時間。
その短い間に曲木の加工は行われるんだそうです。
限られた時間の中で敵を倒すヒーローのように、職人さんはその技術でいつも時間と戦っていたのです。
わずか5分の技術
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長時間高温で蒸し上げ、水分を含んだ木材を鉄型に合わせてじっくりと曲げていく。力づくではなく、まるで木と対話するかのようにバランスを確認しながら正しい形へ。
この曲げる作業にかけられるのはわずか5分。圧力をかけて変形させることで元に戻らないという木の可塑性を利用する曲木は、曲げる時にこそ緻密な技術を要します。
今では日常に当たり前のようにある曲木の家具が、ここまで心技を求められる作業の上に成り立っているなんて思ってもみませんでした。
と同時に、ドイツ人のMichael Thonet(ミヒャエル・トーネット)が発明した工法であるにも関わらず、古くから日本で受け継がれているような、日本で生まれた加工技術のように思えてなりません。
この錯覚にはきっと、ある老舗家具メーカーの功績が大きく影響しているのでしょう。日本で唯一、曲木家具を専門に製造する1911年創業の秋田木工。
剣持勇のスツールNo.202、柳宗理の曲木鏡を手掛けるなど、専門工房ならではの熟練した手しごとで数多くの曲木家具を生み出し続けています。
その技術が脚部に集約されたラウンド型のダイニングテーブル。今にも動き出しそうな有機的なフォルムが印象的です。
一見、曲木がどこに使われているかわからないほど控えめでさりげないデザインでありながら、精到なつくりであることがしっかりと伝わってきます。
でも、曲木の家具の良さは曲線美が作り出す優雅なフォルムだけではありません。1人で持ち上げられるほど軽量、軽いのに堅牢で丈夫。この2点も忘れてはならない特性です。
また曲木に適した性質をもつブナ材を使用することで、くるいが生じにくくなるそう。実際このテーブルもビンテージとは思えないほどがたつきやぐらつきは感じられません。
到底曲がるとは思えない固い木材を曲げて家具をつくる。事実、自然にある木に人間の力を加えることで不自然が生み出されているのかもしれません。
だからこそ秋田木工が掲げ続ける信念があります。「木が木で立っていたときよりも美しく」。
今も昔も変わらない製法で熟練の職人さんが仕上げる美しい曲線が、家具になっても“ 木 ”を感じさせてくれるはず。その使いやすさとともにぜひ実際にご体感いただきたいと思います。