たおやかに、麗しく

今でこそアニメやキャラクターの塩化ビニール製のフィギュアが一般的ですが、遡ればずっと昔から土や粘土、陶器で製作され続けてきた立体人形たち。

中でも陶製人形、いわゆるフィギュリンは、その繊細な美しさから古くは宮廷の権力やステータスを示す象徴だったといいます。

そんな所以からかコレクションアイテムとしても多くの人を魅了して止まないポーセリンアートの世界。その美しさをぜひ味わってみませんか。

Pick up LLADRO & NAO's Figurines

スペインの東部、バレンシア州北郊の街アルマセラの地で1953年に誕生した陶磁器メーカー、LLADR'O（リヤドロ）といえばポーセリンアートのトップブランド。

1968年にはフィギュリン専門の姉妹ブランドとして、NAO（ナオ）が設立されました。

ホアン、ホセ、ビセンテのリヤドロ家3兄弟が「優しさあふれる世界を創造したい」という思いを込めて自宅の中庭で始めた陶磁器づくり。

その思いは今もなお両ブランドに引き継がれ、古典的なデザインはもちろん、著名なアーティストとのコラボレーションなど新たな挑戦も取り入れながら手づくりによる繊細な芸術品を生み出し続けています。

そんな2つのブランドの美しきフィギュリンを集めてみました。

BUTTERFLY WINGS

リヤドロの得意技である陶花がたっぷりとあしらわれたフィギュリン「蝶の妖精 | BUTTERFLY WINGS」。お花畑で蝶と戯れる妖精の姿が優しく描かれています。

少し眠そうにも見える虚ろで儚げな表情も印象的。また、優しい色合いと細かな模様があしらわれた羽も美しいのひと言に尽きます。ファンタジーの世界から飛び出してきたような愛らしい作品です。

DERBY WINNER

打って変わって、凛々しさと勇ましさを感じられる馬の胸像「ダービーウィナー | DERBY WINNER」は、1989-1991年に製造されていた作品。期間が短ったこともあり中古市場でもほとんど出回っていない希少なフィギュリンです。

艶やかな肌の質感やたてがみ1本1本のカールなど絵画のような描写が味わえるのはリヤドロならでは。しかも、勝ち馬ってなんだか縁起も良さそうです。こちらは専用のガラスケースが付属します。

NAO

帽子を被った女性

ポーズを決めて佇む「帽子を被った女性」。幼さの残る少女のようにも、上品な婦人のようにも見える表情に惹きつけられる1台です。

ブルーのショールとドレスのシワまでもが見事に作り込まれたその様は、まさか価格帯を抑えたNAOの作品とは思えないほど丁寧。ちなみに右脇に抱えられたブーケはおまけです。

花を持つ女性

ちょっぴりすました雰囲気の「花を持つ女性」は、1992年から製造され現在は生産を終了しているモデル。Vicente Martinez（ビセンテ・マルティネス）が手掛けています。

花やリボン、レースなどフェミニンな魅力を放つ可憐な女性像。温かみのある柔らかな色彩が美しさを際立たせているようです。

おわりに

無邪気な笑顔もあればご機嫌斜めそうな顔や哀愁漂う切ない顔もある。しかも顔はひとつなのに、角度によって笑っているようにもすましているようにも見える。

そんな豊かな表情もまたポーセリンアートの魅力のひとつだと思います。

佇まいはたおやかで麗しく、その表現にはストーリーが宿る。リヤドロのフィギュリンには美しいという言葉だけでは言い表せない魅力が詰まっています。