特集：オイヴァ・トイッカの特別なアートピース「ロリポップ」

OivaToikkaオイバトイッカの買取と実績 SCOPEスコープの買取と実績記事テーマ特集記事一覧

CATEGORY: author_WEB UPDATE: 2018年5月11日 STAFF:WEB

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無垢な感動に心打たれるアートピース

オイヴァ・トイッカ。インプションでもなじみ深いフィンランドガラスデザインの巨匠です。「カステヘルミ」「フローラ」など、自然をモチーフにしたテーブルウェアを手掛ける優れたプロダクトデザイナーでありながら、フィンランドで大きな展覧会が開かれるほど偉大なアーティストである側面があり、代名詞ともいえるイッタラバードは当店でもたまーに入荷しております。今回はそんなオイヴァ・トイッカのアートピースの中でも特別な存在とされる、「Lollipop/ロリポップ」が入荷致しました。

弾けるように純粋な2004年/匂い立つ色気の2009年

デザイナーでありながら工房に足しげく通い、職人たちの技を間近に見る事で新たなインスピレーションを得るというオイヴァ・トイッカ。以前入荷したバードももちろん作家性が高く、一点一点異なる表情にコレクター心がくすぐられる逸品でしたが、ロリポップは何だか次元が異なるような…。ふんだんに使用されたガラスの重みは、アツアツの状態で重力に無抵抗に垂れていく素材の心を完全に理解しながら弄り、遊びつくしている。そんな躍動的な印象を与えます。キャンディのような形状の上部は前後からプレスされたことで広がり、張りつめた曲線を描きます。グラスに水を注いでいる瞬間を切り取ったような、自然な動きを魅せるベース部分とのコントラストが美しく、ガラスという素材で遊びに遊んだ人だからこそ（真剣に向き合い続けた人という意味です）、意味を求めずとも見る人の心に訴える、生命の躍動を感じさせるものが作れるのだと思います。

ずっとガラスと向き合いながら、こんなにも純粋に素材を楽しんだ作品が作れることが信じがたい。画家も、音楽家も、同じ素材や題材を扱い続ければいつか飽きてしまい、どんどん玄人向けのような難しい作風になって行ってしまう。それは当たり前のことだと思っていましたが、オイヴァ・トイッカは純粋に、素材遊びをしているようです。この組み合わせは綺麗かな、楽しいかな、と生み出される作品群は、トイッカのピュアな心をそのままとらえる事のできる職人によって緻密に再現された力作です。

こちらはジョージア・オキーフの絵画のような、艶めかしさのある2009年のロリポップ。花の雌しべや、身体性を強く連想させます。同じ2009年のモデルを見比べると個体差が大きく、ここまでハッとさせられるフォルムのものはありませんでした。

オイヴァ・トイッカのカットサインと、94/100の文字。推測ですが、100個のうちの94個まで行くと、作っている中で「型」が確立することで「遊び」が大きくなって行っているのかも、と思ってしまいます。洗練されたフォルムの中に、「もっとこうしたい」の蓄積がぎゅっと閉じ込められたような濃度の高さ。今回入荷した二つのロリポップには、弾けるような純粋さを持った2004年、洗練されることによって匂い立つ色気を持った2009年とサブタイトルをつけてみます。

窓辺に飾り、太陽にかざしてお楽しみ下さい。人類と長い付き合いのガラス。こんなにも表情豊かに人々を楽しませると、毎時教えてくれる作品です。

個人的な感覚ですが、ロリポップはコスパが良いと思います。それは多分、イッタラの製造ラインをベースに製作できる環境が整っている中で生まれる作品だから。これが個人の作家による一点ものであれば、価格が生産コストに追い付かず、なおかつクオリティはここに届かない。完全な美術品でありながら、全く手が届かない価格ではない。この作品に至るまでにオイヴァ・トイッカが積んだ経験、職人達が費やした時間を考えると、コストパフォーマンスは間違いなく良いです。現在自由が丘店にて展示しており、訪ねていただければ前のめりでご紹介いたします。ぜひお店でご覧下さいませ。