Takashi Murakami
Flowerball (3D) From the Realm of the Dead
あぁ、京都に行きたい。と、最近急に降って湧いたかのように思っています。
お花見とおいしいお蕎麦を求めて嵐山に弾丸で参上したり、大学の卒業式の日には式が終わるやいなや新幹線に乗り込み、羽織袴のまま清水寺に行ってみたり。
理由は分かりませんが、思い出深いのはなぜだか春の京都ばかり。うん、やっぱり行きたくてたまらないのです。
豪華絢爛を継ぐ
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子どもの頃、修学旅行でみた仏閣や歴史的な遺産たちも大人になった今ならまた違った目線で感じ方も変わるのかもしれません。
しかもそれが村上隆の世界観に染まっていたのなら、きっと新たな魅力を発見できることでしょう。
日本を代表する現代アーティスト、村上隆(むらかみたかし)。実は、そのポップなアート作品と京都には深いつながりがあります。
2000年に氏が提唱した「スーパーフラット宣言」。直訳すると超平坦。遠近法などを用いずあえて奥行きのない構成でつくられる作品が、世界的な旋風を巻き起こします。
この作風は、やまと絵や浮世絵、尾形光琳・俵屋宗達に代表される琳派に通底するもの。誰もが知る風神雷神図屏風がその例です。
写実ではない方法で、そのものの印象や迫力を大胆に伝える。そしてビジュアル的な面白さが見る者の視線を誘導し釘付けにする。村上デザインの根っこには、そんな日本古来の画風があるといいます。
本当は、現在開催中の展覧会「村上隆 もののけ 京都」に足を運んでこのブログを書きたかったのですが、実際に訪れずとも村上隆について知る良いきっかけとなったのもまた事実。
店内にあるアートポスター「フラワーボール 黄泉の国から | Flowerball (3D) From the Realm of the Dead」の見方が変わり、より一層魅力的に感じられる気がするのです。
一面に広がるにっこり笑顔のフラワーたち。平坦なのにボール型に見える立体的な配置がなされた3Dバージョンは、2次元と3次元が融合した不思議な感覚をもたらします。
キャッチーでカラフルなアートに宿る躍動感と隠された日本美術。侘び寂びとは一線を画す豪華絢爛な潮流を現代的に新解釈した、ポップのひと言では言い表すことのできない作品です。
桜の見ごろは終わってしまいましたが、このフラワーボールがあればいつでも満開。
現地まで行かずとも、このフラワーボールがあればいつでも味わうことのできる歴史ある文化財のような趣。
江戸時代に京都で花開いた琳派が自由でわかりやすく煌びやかな美しさで人々を魅了したように、氏のアートもまたきらきらとした存在感を放ちます。ポップな現代アートのイメージも一気に覆されました。
村上隆と京都。一見結びつかない2つの切り離せない関係を作品を通して感じられるのもおもしろいものです。(あぁやっぱり、京都行きたい)。