日田工芸
カップボード
当時の風土や文化、嗜好を含むビンテージ。
見た目の良さや経年により味を増した素材感も魅力ですが、見知らぬ過去に想いを馳せるというのもロマンがあります。
北欧など海外のビンテージが注目されがちな今日ですが、ここ日本で生まれた家具も素晴らしいもの。
流行を捉えながらも確かに感じ取ることのできる高い嗜好性とクオリティはその他のビンテージにも引けを取りません。
本日ご紹介させて頂くのは日本が誇るビンテージです。
飴色の技術
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丁寧に作りこまれたからこそ現代にまで残る家具。
中でもジャパンビンテージの家具は他にない独特の風合いを纏っています。
今回ご紹介させて頂くのはそんな日本の家具工房のなかでもトップクラスと詠われた工房の逸品。
高品質な家具造りで全国に名を馳せるも、惜しくもその幕を閉じた昭和の名工房「日田工芸」のカップボードです。
70年代の日本を代表する名家具工房の一つ、日田工芸。
日田工芸は選び抜かれた良質なチーク材を主材とし丁寧に加工した北欧スタイルの流れを汲んだ家具を作っていたことで知られています。
強靭で美しいチーク材は、現代では入手困難な木材。
こちらのカップボードにも選び抜かれた良質なチーク材がふんだんに使われています。
日田工芸の手掛ける家具の最大の特徴。
高い技術による、確りとした造りです。
日本国内でもトップクラスの職人を抱えていたことでも知られており、職人たちの高い技術力があったからこそ、良質な木材は良質な家具に姿を変えることが出来ました。
硬度の高いチーク材は磨耗にも強く、割れや裂けへの耐性や、伸びが少ない。
永く使えることを意味しますが、その硬さゆえに加工の難しい木材でもあります。
長く残るチーク材の家具は日田工芸の職人だからこそ成しえたのかもしれません。
今回入荷したカップボードは日田工芸の家具の特長を随所に含んだ逸品。
北欧家具の影響を感じさせながらも日田工芸の拘りを感じるディティール。
美しく浮き出るチークの杢目と経年により飴色へと深みを増した色が歴史を物語っています。
シンプルなデザインに柔らかさをプラスする丸みを帯びた角のデザインも素晴らしく、思わず触れたくなるほど。
丁寧に接合された箇所は美しく、木工の高い技術力を感じさせます。
残念ながら日田工芸の家具は現存するビンテージ家具でしか、その素晴らしさを体感することが出来ません。
しかしその技術や想いは日本のどこかで必ず受け継がれています。
日田工芸に対する「最高峰」の評価は決してなくなることは無く、大量消費が主になった現代にも魅力をもって蘇ります。
時間は全ての家具に価値を与えるわけではありません。
細部にまで見られるのは、今日まで残り続けた所以である美しさと強さ。
そして職人の高い技術と情熱。
そこに曖昧さは微塵も感じません。
これからも輝き続ける日本の名品のご紹介でした。