岩谷堂箪笥
箪笥
圧倒的な存在感と妥協を許さない完璧なつくり。
永い年月をかけて完成された美しさ。
世界に誇る伝統工芸、岩谷堂箪笥。
2世紀にわたり受け継がれた伝統は色褪せる事無く、輝き続けています。
本日はそんな長い歴史を持つ岩谷堂箪笥の整理箪笥を紹介させて頂きます。
抽斗に宿る年月の重み
>>この商品の詳細を確認する
始まりは18世紀末。
江戸時代天明2年、現在の岩手県江刺市。
現在の江刺市にあたる岩谷堂は鋳金や木工等の伝統が古くからありました。
その伝統に注目した当時の岩谷堂城主が家臣に車付箪笥や長持等の木工家具を研究させたそう。
米の生産に頼りきりの経済から脱却する為の戦略だった様です。
これが岩谷堂箪笥の始まりとされています。
さらに文政年間(1820年代)。
徳兵衛という鍛冶職人が彫金金具を考案。
施錠出来る堅牢な金具が用いられたのは金庫の役目を果たすためでした。
当時は桐の模様が多かった様ですが、次第に竹や龍、花鳥などのデザインが誕生。
江戸時代、伊達藩の政策により、特産の馬市が振興され多くの外国人が出入りしたこともあり、模様から品質まで、隙のない完璧な岩谷堂箪笥は国内外で注目を受けることになります。
確実にその名を広めていた岩谷堂箪笥でしたが戦争により製作の一時中断にまで追い込まれた事もあったそう。
そんな苦しい時代ながら、時代に流されることなく、伝統の技術を守っていくことこそが発展の道と確信していた岩谷堂箪笥は洋家具の登場にも屈することなく再び評価を受けるように。
戦争にも屈しない職人たちの強い拘りがあったからこそ現代にまで残った。
工芸のものづくりの力強さを感じずにはいられません。
明治になりようやく一般家庭にも箪笥が普及。
それまでの箱型の整理箪笥から棒桟箪笥に変わり、それに伴い岩谷堂箪笥の需要も増えました。
美しい漆塗と煌びやかな飾り金具の箪笥は各地で高評価を受け、岩手のみならず東北中に出荷されたそう。
今回入荷したのは欅材を使用した漆塗りの小さな整理箪笥。
拭き漆により浮き出た杢目が美しく、欅の特性でもある艶が十分に引き出されています。
そして一番のポイントである抽斗。
切り出した原木を数年ねかせ、野積みにして風雨にさらしアクを抜く「野ざらし」という方法により極限まで狂いを減少させた欅を使用しています。
日本は四季がある為、一年を通して湿度や気候が変動します。
その気候の変化にも耐える堅牢な作りが収納物を湿気から守ってくれます。
抽斗を閉じるときの空気を押し出す重みに現れる密閉度は類を見ません。
時代に流されることなく伝統の技術を守り続けた岩谷堂箪笥。
抽斗を引く事でその年月の重みを感じることが出来ます。
使い込むことで杢目の美しさと、漆本来の味わいが増すのもまた魅力。
確固たる風格は一生の付き合いになる事でしょう。