天童木工
低座椅子
日本の昔ながらの暮らし。現代とはかけ離れているようで、最近は若者の間でも畳のある生活や日本の古い家具を好んで使用する方が増えているように思います。
長年フローリングの部屋に住んでいても畳みの部屋を見るとどこか安心するように、時代が変化しようと、日本人ならではのルーツは変わらずに残っているものですね。
本日は、和洋を問わず空間に溶け込み、現代の暮らしにもマッチした日本の名作椅子をご紹介致します。
「ジャパニーズモダン」を体現する椅子
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その椅子とは、日本の老舗家具メーカー"天童木工"の「低座椅子」です。
同社は、薄い木板を何層にも張り合わせ、プレス機で圧力と熱を加えることで成形する、「プライウッド(成形合板)」を日本でいち早く取り入れたことで、その技術力が高く評価されています。
柳宗理のバタフライスツールなど、高い曲木技術を活かした名作が数多く生まれ、「低座椅子」もその一つといえます。
誕生したのは1960年。当時坂倉準三建築研究所に在籍していた長大作氏が、8代目松本幸四郎邸用にデザインしたことで生まれました。
坂倉準三氏が手掛けた「竹籠座の低座椅子」をリデザインしたとも言われています。
床に近い生活をする日本独自の文化と西洋から来た椅子の文化を融合させた低座椅子は、正にジャパニーズモダンそのものなのです。
長大作氏は著名なデザイナーであると同時に、建築家でもありました。
1972年に独立してからも、住宅設計と家具デザインの両方の分野で活躍した長大作氏。
同氏のデザインが端正で無駄のない美しいカタチをしているのは、建築的な観点から広い視野をもってモノを見ていたからなのかもしれません。
低座椅子の特徴といえば、わずか29cmの座面高。
後に中座椅子や小椅子などが発表されますが、こちらがもっとも「畳に座ってくつろぐ」という日本人の昔からの生活様式や感覚に寄り添ったものといえます。
緩やかな弧を描く座面と背もたれは、年代や性別問わず日本人の体にフィットし、包容力のある心地よさを体感できます。
床に近いからか安心感と同時に安定感もあり、あぐらをかいたり足を伸ばしたりして、自分が一番リラックスできる体勢が取れるのです。
後姿を見ると、脚部はやや外側を向いた幅広の台形をしています。
これは、畳を傷付けないように同氏が拘ったポイントなんだそう。畳みの部屋は勿論、フローリングの部屋も傷が付きにくい嬉しい仕様ですね。
誕生してから半世紀以上、移り変わる時代に取り残されることなく、多くの人に愛され続けている名作椅子。
座椅子と聞くと、少し古くさいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、そんなイメージを払拭させてくれるのがこの低座椅子ではないでしょうか。
実は、長大作の家具も取り扱う"イデー"や"無印良品"など、現代の私たちの暮らしに身近な家具にもよく馴染んでくれますよ。
昔懐かしいレトロな家具と、流行りのモダンな家具を組み合わせたミックスコーディネート。是非試してみませんか?