天童木工 TENDO ブックチェア ダイニングチェア 図書館椅子 ホワイトビーチ × オーク 水之江忠臣 ~寡黙な哲学~

UPDATE: STAFF:どいれん
天童木工 TENDO ブックチェア ダイニングチェア 図書館椅子 ホワイトビーチ × オーク 水之江忠臣 ~寡黙な哲学~

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天童木工 ブックチェア

現在進行形で増え続けるデザイン。 目まぐるしいスピードで新製品が生み出され昨日のデザインは一瞬で過去のデザインへと更新される。 溢れんばかりのデザインを次々と形にするデザイナーの創造力と想像力はやはりすばらしいものですが、新作を作る事だけがデザインではありません。 イームズのシェルチェアもまさにそれです。 新作を発表し続けながらも、変わらず作り続けられた名作たち。 本日紹介させて頂くのは日本のデザイナーが残したプロダクトデザインデザイン史に残る一脚です。

寡黙な哲学

>>この商品の詳細を確認する 今回ご紹介させて頂くのは日本を代表する家具メーカー“天童木工が”誇る、不朽の名作チェア、通称「ブックチェア」。 神奈川県立図書館の観覧用の椅子としてデザインされたことからこの名が付きました。 戦後の山形県旧天童市、大工や建具の職人が集まり、天童木工家具建具工業組合が結成されたところから始まった天童木工。 初めて世界に通用するデザインを生んだメーカーとも言われている天童木工が手掛けた名作の一つこそが、本日紹介させて頂く一脚です。 デザインを手掛けたのは水之江忠臣氏。 ジャパニーズミッドセンチュリーを作り上げたデザイナーのひとりです。 海外の名作と呼ばれる椅子の研究を通じ、イームズやウェグナーといった名デザイナーたちと交流を深めていた水之江氏。 故に、海外での新技術や素材をいち早くデザインに取り入れたデザイナーとしても知られています。 その影響はこのチェアデザインにも表れている様です。 1940年代、所謂ミッドセンチュリー。 直線的なデザインが殆どだった家具デザインに、軽やかな革命が起きます。 1ミリほどの薄い板を重ね合わせ、圧力と熱を加える事で無垢材では表現出来ない曲面と強度を叶えた成形合板。 イームズのプライウッドチェアが代表するように、成形合板により生み出される曲線美はデザイン界に衝撃を与えました。 水之江氏はハーマンミラーの輸入アドバイザーを勤めていたこともあり、プライウッドの衝撃にいち早く触れていたのかもしれません。 ブックチェアも成型合板の技術が用いられており、人の体のラインに沿う柔らかな曲線が圧倒的な座り心地を叶えられたチェアです。 海外の名デザイナーたちとのやり取りが多かった水之江氏は、最新のデザインをより身近に触れていました。 プライウッドを採用する等様々な要素を吸収していた水之江氏。 しかしながらそれらには海外のデザインに見られるような派手さは反映されていません。 その理由は水之江氏の頑なな哲学にあります。 「デザイナーは一生に一つ本当にいいものが残せればそれでいい」 こう遺したように、ブックチェアは試作を重ねて製作された一脚でした。 様々な名作に触れてたどり着いたのは本当に良い一脚。 進化し続ける事を目指して作られた椅子のデザインはとてもシンプルでした。 数多くの作品を手掛けるわけではなく、ひとつの作品に改良を重ね、優れた家具を生み出すことを目指した水之江氏。 その姿勢から「寡作なデザイナー」と呼ばれました。 手掛けたデザインは数少なくとも、だからこそ感じる哲学には頷くしかありません。 その一つこそがこのブックチェアだったのです。 ミリ単位の改良は100回以上も繰り返され、思いのままの完成形に完結させられました。 たどり着いたデザインはただひとつ。 故に非常にシンプル。 質の良い家具づくりを目指したデザイナーの哲学は60年たった今でも生き続けています。 新しいデザインに気を取られがちな私たちに、変わらない衝撃を与え続けてくれる一脚。 寡黙な哲学の最終形。これこそプロダクトデザインにあるべき姿なのかもしれません。 変わらず作り続けられ愛され続ける名チェアのご紹介でした。

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