vitra.
Panton Chair
今尚変わらない新しさを放つ名チェアたち。
新鮮で美しい佇まいは今日まで、様々な空間を彩り続けました。
今回ご紹介させて頂くチェアもそのひとつ。
試行錯誤の末に完成された、ミッドセンチュリー期を代表する名作です。
世界初の完全一体型
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プラスチック一体成型の椅子。
その代表的なチェアが今回紹介させて頂くチェア、通称パントンチェアです。
椅子を構成する背と座と脚。
そのすべてのパーツがひとつになったオブジェの様なフォルムは誕生から今日まで色褪せることを知りません。
デザインを手掛けたのはデンマークを代表するデザイナーのひとり、ヴェルナー・パントン。
革新的で未来的なデザインに執着しエキゾチックで近未来的なデザインを手掛け、多くの名作を残した名デザイナーです。
パントンチェアはそんな彼の残した代表的なプロダクトのひとつ。
当時の主流であったチェアデザインを覆す程の圧倒的なデザインは、構想から10年以上もの歳月が費やされ完成された苦悩の作品としても知られています。
当時はこのデザインの椅子を製品化できる製造元がなかったそう。
曲線で構成された繋ぎ目のない一体成型の椅子。
それをプラスチックで製造することは限りなく不可能に近いものでした。
完成させる為に多くの課題をクリアしなければならなかったパントンチェア。
20社もの製造元に断られたパントンの元に訪れたのがヴィトラ創業者の息子、ロルフ・フェルバウムでした。
強度面とデザイン面の両立を目指した試行錯誤。
最初のプロトタイプはガラス強化繊維にポリエステルを塗り込んで仕上げるという、職人による手仕事を要す仕様だったそう。
そして1990年。
プラスチックと射出成形の技術革新が進化を遂げます。
これがパントンチェア製品化を後押し。
ようやくプラスチック製の椅子を手ごろな価格で量産化することが可能になりました。
それはヴェルナー・パントンが亡くなった直後の事でした。
今回入荷したのはパントンチェアの製品化に大きくかかわったヴィトラ社のビンテージの個体。
現行モデルを手掛けるのも同社ですが、主材が大きく異なる期初な一脚です。
ポリプロピレン樹脂製の現行モデルに対し、こちらはFRP樹脂製。
射出成形後にペイントされ、艶やかで美しい仕上げがなされています。
床との接地面は未塗装なので本来の素材感を観察する事が出来ます。
不可能と言われた製品と向き合い続けた、パントンとヴィトラの歴史が垣間見える箇所と言えます。
一体型とプラスチック素材の組み合わせによる包容力としなり。
他のチェアから得られない不思議な安心感は多くの人々を虜にしました。
スタッキング仕様である点もこのデザインが高く評価された理由のひとつでもあります。
今尚新しく映るパントンのデザイン。
真新しく新鮮に見えるそれらは長年の努力によって生み出された試行錯誤の結晶でした。
前例のない物を作り出すというのは現代では経験できないことかもしれません。
だからこそミッドセンチュリーの名デザインは軽やかで力強い永遠を感じさせるのでしょうか。