vitra
BAR BOY
部屋を片付けようと思っているのに、気づけば収納家具ばかり探している。
そんな経験はありませんか。
収納力や使い勝手はもちろん大事ですが、毎日目に入るものだからこそ、眺めていて気分が上がることも同じくらい大切なのかもしれません。
"隠すための家具"でありながら、"見せたくなる家具"。
そんな存在は意外と少ないものです。
本日ご紹介するのは、収納家具でありながら、空間の主役にもなってしまう一台です。
魅せる収納家具

1950年創業、スイスを代表する家具メーカー"vitra"。
チャールズ&レイ・イームズやジョージ・ネルソン、ジャスパー・モリソンなど、世界的デザイナーとの協業によって数多くの名作を生み出し、現代家具を語る上で欠かせない存在として知られています。
その高い技術力と品質へのこだわりは、時代を超えて愛される家具を支え続けています。
今回ご紹介する『BAR BOY』も、そんなvitraの歴史を彩る一作です。

デザインを手掛けたのは、デンマークを代表するデザイナー、ヴェルナー・パントン。
1963年に発表されたBAR BOYは、丸みを帯びたシルエットと艶やかなブラック塗装が印象的で、一見すると樹脂製にも見えるほど滑らかなフォルムを描いています。
しかし、その曲線を生み出しているのは積層合板。
当時の高度な成形技術だからこそ実現できた造形美は、どの角度から眺めても美しく、未来的でありながらどこか温かみも感じさせます。
家具というより、一つのオブジェを置いているような佇まいです。


BAR BOY最大の特徴は、3段の収納部。
それぞれが独立して回転する構造となっており、扇状に開くことで中身を一目で見渡せます。
高さの異なる収納スペースは、ボトルや雑貨、文具などサイズに合わせて使い分けることができ、見た目だけではなく実用性も十分。
さらにキャスター付きのため、必要な場所へ気軽に移動でき、ワゴンやサイドテーブルとしても活躍します。
閉じた姿は静かでミニマル。
開いた瞬間には表情が一変し、空間にリズムが生まれる。
そんなギミックも、この家具ならではの魅力です。

大胆なフォルムと革新的な構造を持ちながら、半世紀以上経った今でも古さを感じさせないBAR BOY。
現在は惜しくも廃番となっており、市場でも見かける機会は決して多くありません。
だからこそ、単なるヴィンテージ家具というだけではなく、ミッドセンチュリーデザインを象徴するコレクションピースとして高い人気を誇っています。
デザイン性と実用性、そのどちらも妥協しないパントンらしい思想が、この一台には凝縮されています。

収納家具は、どうしても"しまうための道具"と考えてしまいがちです。
けれどBAR BOYを見ていると、それだけでは少しもったいない気がしてきます。
しまう、動かす、開く。
そんな何気ない動作さえ楽しく変えてしまうデザインには、家具が暮らしを豊かにする力があることを改めて教えられます。
使っていない時ですら美しく、使うたびに新しい表情を見せてくれる。
だからこそBAR BOYは、60年以上経った今でも世界中で愛され続ける名作なのでしょう。































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