ワイエムケー長岡 Y.M.K スツール QS-10 トリイスツール 木地 ラタン 籐家具 渡辺力 ~ 歴史にラタンを刻む ~

UPDATE: STAFF:ふじこ
ワイエムケー長岡 Y.M.K スツール QS-10 トリイスツール 木地 ラタン 籐家具 渡辺力 ~ 歴史にラタンを刻む ~

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Y.M.K Nagaoka
Torii Stool

まず手前で一礼して、真ん中は通らず右か左の端を歩く。少しでも中央にお尻を向けることのないように、右側なら右足、左側なら左足から踏み出す。

鳥居は神様と人間の世界を分ける境界。神聖な場所に入るときのマナーとしてくぐり方も心得ておきたいものです。

一応なんとなくは知っていたつもりだったのですが、まさか出す足まで決まっていたとは。次から意識してみようと思います。

神聖な名作

通り抜けることはできないけれど、本物みたいにどこか威厳のあるオーラが感じられるのは鳥居の名を冠しているからでしょうか。

ジャパニーズモダンを牽引した渡辺力による名プロダクト、トリイスツール。実はこの名称はその見た目から名付けられた通称で本名は「スツール QS-10」といいます。

両サイドがせりあがった座面としなやかな脚部、その2つを繋げる補強パーツ。籐素材の性質を見抜いたからこそできたシンプルで完璧な造形。

ラタンのみで構成されるこのスツールは、ひとつでもバランスが崩れると腰掛けとしての役割を果たすことができないほど繊細で、卓越した職人の技がなければ成立しないデザインだともいわれます。

そんなオーガニックで美しいシンメトリーの佇まいが評価され、日本のデザインとして初となるミラノトリエンナーレの金賞を受賞した同作。まさに傑作として歴史に名を刻む1脚です。

ただ実際に1956年に誕生した当初のデザインは、座っていると脚が外側に開いてしまうという難点があったそう。そこで発売されて間もなく氏本人が脚部のみに接地していたサイドにある雫型のパーツの付け方を改良することで、実用性を伴った現行の形へと生まれ変わりました。

そしてこの名作の肝となる製造を担ったのが、籐家具のプロフェッショナル・山川ラタン(現・Y.M.K長岡)。丁寧に編み込まれたラタンの程よいしなりがしっかりと、でも柔らかく身体を支えてくれます。

ちなみに今回は座面に傷みが生じていたため専門業者による張り直しが行われていますが、実メーカー同様の丹念な仕上がりをきっと実感していただけることでしょう。

長い間、夏の素材として扱われきたラタンのイメージを変えた渡辺力のデザイン。トリイスツールがあったからこそ、季節を問わず籐家具が日常に取り入れられる今があります。

ラタンでなければ到底果たせない、素材の魅力を存分に引き出した軽やかさと伝統的な造形でつくる神秘的な佇まい。

まさか雑誌の企画から生まれて世界を認めさせるなんて、名作は何がきっかけで誕生するか本当に分からないものです。

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