Louis Poulsen
PH5
突然ですが、秋の始まるこの季節の頃合い、私はそれほど好きではありません。
なぜなのか。それは太陽が沈むのが早くなり、肌を撫でる風は寒くなり、命の賛歌であった夏が終わってしまうから。
感傷的な考え方だと自分でも思うのですが、思うことは止めることが出来ません。
ですが、好きではないなりに、気に入っている瞬間があります。
まっすぐに進む光をとらえて

それは、太陽が今日に別れを告げる時に生まれるたそがれ。
清々しく青い空が、橙や青紫、濃紺と短い時間で表情を変える時、家路をたどる人の姿、点きはじめる家の明かりが人の営みを温かく感じさせてくれるのです。


人が火を取り扱うようになり、のちに電気を用いた照明を発明。それによって人間の活動は時間を問わず、幅広くなりました。
一日の務めが終わり、心をゆるめてとる夕食を迎えるために灯す明かり。緯度が高いため、日照時間が少なく貴重な北欧の国。その中のデンマークで、鬼才とも評される才人によって生まれた照明があります。


それはPHシリーズ。現代に続くトップライティングブランド、ルイスポールセンとデザイナー ポール・ヘニングセンによってこの世にうまれました。


スワール、コントラスト、スノーボール、アーティチョークと挙げていけばキリがないほどのPHシリーズが作られる中、共通しているのは「眩しくない」こと。
よりしっかりと、もしくは広い範囲を照らそうと思えば光量が必要になりますが、その光源は直接目にしたとき、強い刺激を与えてしまいます。


何となく目にしたときでも、じっと見ていると太陽とにらめっこした時みたいにまぶたの裏から離れない。皆さんも経験があるのではないでしょうか。


その眩しさ(グレア)をなくすためヘニングセンが用いたのが対数螺旋(たいすうらせん)。
アンモナイトの巻貝のように、円の中心から常に等しい角度を保つこのカーブをシェードに使い、結果「どの距離でも同じように光を反射する=メリハリの少ない、穏やかな明るさ」を作り出したのです。


そして光源が直接見えない事。ギラギラ、チカチカがないため長時間でも眺めていられる静謐な雰囲気。


そしてPH5は1958年当時の白熱球を活かすために設計され、刺激の強い緑や黄といった光源からの色味を抑えるために青や赤をシェードに加えていたというエピソードがあります。

現代の電球は進化してその色合いは減少しているとのことですが、赤と青がお互いを補い反射する光はまるで、時間を奪う「たそがれの光」。ノスタルジーを感じて、センチメンタルになったっていい。そう思わせてくれる幸せな瞬間を生み出してくれるのです。

シーリングライトやファクトリーランプのように、むき出しの光が雰囲気を出してくれることもあります。適材適所の話にはなりますが、もしも心が穏やかなお部屋を望むなら。
このPH5は、間違いのない答えの一つとして存在し続ける。そんな名作なのです。































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