Louis Poulsen
Planet Pendant Light
光を生み出す形がどれほど洗練されていても、放たれる光が美しくなければ、真の照明デザインとは言えません。
優れたデザインは、視覚の範囲を超えて空間に奥行きを与え、その場の空気や雰囲気さえも変えてしまう力を秘めています。
今回ご紹介するのは、北欧を代表する照明ブランドが生み出した、ただ暗闇を払うだけではない、光そのものがデザインされた照明です。
空間に浮かぶ、もうひとつの惑星
北欧を代表する照明器具メーカー、ルイスポールセン。
スカンジナビアデザインの伝統に基づき、長年にわたり単に照明器具をデザインするだけではなく、人々が心地よいと感じる雰囲気を生みだす光をかたちづくってきました。
数多くの名照明を世に輩出し、今日まで様々な場所を照らし続けています。
こちらは現在廃番となってしまった希少なプロダクト プラネット planet ペンダントライト。
その名が示す通り、惑星を思わせる近未来的なフォルムが印象的です。
デザインを手掛けたのはデンマークのデザイナー イェンス・ミュラー・イェンセン。
1955年に医療機器のエンジニアとしてキャリアをスタートした後、デンマーク高速道路公団やデンマーク国鉄のグラフィック、サインシステムなど多岐にわたるデザイン活動を行っています。
彼のデザインの真髄は、自らの手でフルスケールモデルを製作するクラフトマンシップにあります。
その精密さと信頼性が、多くの人々の心をつかむ理由のひとつと言えるでしょう。
支柱でリングをつなぎ、その中心にカバーが取り付けられた、現在のラインナップにも受け継がれている普遍的なデザイン。
光源は中央の反射板が光を拡散し、より明るく柔らかな光を生み出します。
不快な眩しさを抑えるグレアカットリングや、耐久性に優れたポリカーボネートカバーを採用し、限りなくシンプルで機能的な構造を実現。
このため、モダンな空間からインダストリアルなテイストまで、幅広いインテリアに調和します。
このデザインを受け継ぎ、ウォールライトとして生まれ変わったのが「アルバスルン ウォール」です。
この照明は、コペンハーゲン郊外のアルバスルンという町の住宅開発プロジェクトの一環として、1963年にイェンセンがデザインしたもの。
街路灯としても活用できることを証明したその普遍的なフォルムは、リビングやダイニングだけでなく、寝室や玄関、廊下、さらには公共空間にも馴染むデザインです。
照明をデザインするということは、ただ光をともすだけでなく、灯そのものをデザインすること。
私たちの暮らしに確りと寄り添い、空間の価値を高めてくれる照明のご紹介でした。