ANONIMA CASTELLI
PLIA Chair

学生の頃から「流行」に疎く、自分の好きなもの以外についてはよくわからん！状態でいることが多かったのですが・・・
日々たくさんの家具がお店に運び込まれるたびに、ここで働いていなければ知ることも、出会うことも無かったのかもしれないアイテムに感動させられています。
本日ご紹介するアイテムも、恥ずかしながらインプションに入って知った一脚です。

時代を超越したデザイン

一般的な折りたたみ椅子と言えば、実用性が重視されたシンプルかつ無骨なデザインで、学校行事や人が多く集まる場所で用いられるような、いわゆる「業務用」のイメージが強くありますよね。
そんなわたしの中にあるイメージを大きく覆したのが、“ANONIMA CASTELLI（アノニマカステッリ）”の折りたたみ椅子“PLIA（プリアチェア）”。
インプション入社前にちょうど流行っていたのが韓国インテリアで、SNSで似ているものを見たことがあったな～と思いながらも、1967年にデザインされたものと知って驚きが隠せません。
50年以上前の折りたたみ椅子って、こんなにオシャレだったの？

そんなプリアチェアは現代の折りたたみ椅子の原型とも言われており、デザインはジャンカルロ・ピレッティが手掛けています。
人間工学（エルゴノミクス）に基づいた設計を得意とする同氏の作品は、単なる工業製品ではなく芸術品としても世界中で認められ、代表作でもあるプリアチェアは、MoMAの永久収蔵品（パーマネントコレクション）にも選ばれています。

個人的に一番のポイントは折りたたんだときのシルエット。
全てがフレームの内側に収まり両サイドの一番厚い部分でも5センチで、クロームフレームに収まったときの美しさたるや。

また、クリアとクロームという色の組み合わせは一見個性的に感じますが、素材越しに敷いているラグや床のデザイン、周囲のアートワークを隠すことがないので、自然と空間に溶け込み、意外と設置場所を選びません◎
プリアチェアにしかない透明ゆえの目立たない美しさは、「必要な時に現れ、使わない時は姿を消す」という折りたたみ椅子本来の機能さえ卓越し、芸術の域まで高められた唯一無二の存在ともいえるのではないでしょうか。

多くの折りたたみ椅子とは一線を画す「機能美の追求」と「時代を超越したデザイン」。 一般的な折りたたみ椅子が実用品であるのに対し、プリアチェアは機能美を兼ね備えた究極ともいえる一脚です。