Louis Poulsen
Flower Pot
北欧家具の中心地デンマークで生まれ、唯一無二のデザインから今もなお高い人気を誇る「ヴェルナー・パントン Verner Panton」。
"北欧デザイン界の異端児"の異名でも知られる同氏はそれまでの素材やデザインに囚われることなく、プラスチックを用いた家具や有機的な曲線を描く造形、鮮やかな色使いで60年代後半のポップカルチャーを代表する存在です。
本日はそんな同氏のデザインスタイルが色濃く反映された一台のご紹介です。
北欧が生んだレトロフューチャーデザイン
1928年にデンマークで生まれたパントンは前衛的アーティストとして経験を積みながらデンマーク王立芸術アカデミーで建築を学び、1955年には自身のデザイン事務所を設立。
1967年にヴィトラから世界初のプラスチック一体成型チェアとなる「パントンチェア」を発表すると世界に鮮烈な衝撃を与え、以降家具や照明、テキスタイルなど様々なデザイン分野において数々の名作を発表してきました。
そんな同氏が手掛けた「フラワーポット Flower Pot」ペンダントライト。
1960年代の発表当時盛んだったベトナム戦争への反戦を訴える「フラワーパワー運動(武器ではなく花を)」にちなんで名付けられており、運動の中心となったヒッピーのもつサイケデリックな世界観やそれまでの西洋的な価値観に反旗を翻したスタンスがパントンのデザインスタイルと調和して生み出された一品となっています。
大小異なる半球を重ね合わせた構造のフラワーポットは光をシェードに反射させることでお部屋を優しく照らすスタイルで、小さな半球シェードの内部を赤く塗り分けることでよりあたたかみのある光が広がる構造になっています。
この光を反射させる構造はパントンが同じくデンマークの巨匠"ポール・ヘニングセン"の手掛けた照明に影響を受けたもので、戦前より照明の機能やその構造を研究し続けてきた先進性と、北欧ならではの暮らしに寄り添ったデザインを両立させています。
シンプルながらどこか浮遊感のあるデザインで現在も広く愛されるフラワーポット。
現在ではパントンのほか、ヤコブセンや現代のデザイナーが手掛けた照明を発信するインテリアブランド"アンドトラディション"で製造が続けられていますが、今回入荷したのはルイスポールセン社で作られたオリジナルの個体。
現行品のシェードがスチール製であるのに対してこちらはホーロー製であるほか、同氏ならではの色彩が感じられる鮮やかなブルーのカラーリングもビンテージでしか味わえないポイントとなっています。
ミッドセンチュリーを経て新たな素材やデザイン理論など、様々な面で急速に発達した60年代デザインスタイルの一角を担う巨匠の手掛けた一台。
優れた照明デザインを受け継いだシェードは空間に幻想的な光を広げ、消灯時もポップな造形とビビッドな色使いで優れたインテリア性を発揮してくれます。
既存の様式に囚われない独自のシルエットに優れた構造の照明デザインを応用することで、パントンならではの魅力がより引き立つフラワーポット。
アメリカンビンテージやミッドセンチュリースタイル、レトロフューチャーなスペースエイジにぴったりとマッチしてくれること間違いなしの逸品です。
年々希少となっているオリジナルモデルの一台、imptionでもあまり見ることのできないこの機会をぜひお見逃しなく。