Louis Poulsen
220 Toldbod Glass Pendant
もしもこの世界から夜がなくなってずっと昼間が続いたら、皆さんは1日をどう過ごすでしょうか?
時間を気にすることなく仕事ができて、いつだって遊び放題。明るいときにしかできなかったことがいつでもできるようになる。
暗くて困る夜を明るく動きやすい昼に変えるために古代からずっと人間は知恵を絞ってきました。そうして生まれたのが灯りです。
心地よい明暗を

遡ること約50万年、人類が初めて手にした灯りは焚火でした。その後オイルランプを使うようになり、ロウソク、ガス灯、アーク灯を経て辿り着いたのが白熱電球、そして現代の発光ダイオード(LED)。
灯りの歴史を振り返ると、人間がどれほど明るさを求めていたか、そして効率よく光を得ることがいかに重要だったかが分かる気がします。

そんな古くからの願望に異議を唱えたのが、近代照明の父としてPHシリーズを生み出したデンマークの照明デザイナー、Poul Henningsen(ポール・ヘニングセン)です。
明るすぎず暗すぎない心地良い灯りを作るために、眩しさ(目の不快感や残像)を防ぐ「グレアフリー思想」を提唱。氏の照明は光源を直接見せずしてシェードに光を効率よく反射させることで明るさを保ちます。


1966年に考案され、その後1982年にLouis Poulsen(ルイスポールセン)にて製品化された「トルボー | Toldbod」シリーズももちろんグレアフリー。
卵をちょうど真ん中でカットしたような丸いフォルムのシェードに覆われた光は直下を重点的に照らします。とりわけガラスペンダントは、上方をほのかに電球色に染めながらふんわりと柔らかい光を全体に広げます。



また3層になった乳白ガラスは外側は艶やかに、内側はマットに仕上げられ、異なるニュアンスが装飾のような美しさを生み出します。
しかも今回は球自体をさらにガラスパーツで覆うハロゲン仕様。控えめなワット数も相まって、より上品でソフトは灯りが空間にさりげない上質感を授けてくれるでしょう。

人には夜と昼のリズムが必要である。決して夜が昼になってはいけない。
たしかに氏が言うように、夜がなくなれば眠ったりリラックスして過ごす時間も失われ、1日のONとOFFの切り替えができなくなってしまいます。
生活を豊かにするために試行錯誤が続けられてきた灯り。心地よい日常に必要なのは明るさだけではないと、改めて照明を見直すきっかけをヘニングセンのデザインが与えてくれているようです。